第16話:クルーザー-ヨットを買う

文字数 2,324文字

 一度、空いてる土日を前もって、電話してくれれば、連れて行ってあげるよと言った。入会金と年会費を聞くと入会金、1000ユーロで月会費も100ユーロだと言った。日本語の家庭教師代金、月に100ユーロ払うよと言ってくれ今月分と言い手渡してくれ、最初、いらないと言うと不足かと聞くので、そうじゃなくて無料で良いと言うと、そう言う訳にはいかないと笑いながら言った。

 その次の土曜やってきて4回目にニコラスの奥さんのマリアも連れてきた。そしてニコラスが自分が日本語を習っている事を奥さんに打ち明けたら、私も行きたいと言うので見学に来たと話した。マリアが塚田守の奥さんの美鈴さんをみて、きれいな人ですねと言い片言の英語で意気投合した。そして塚田守が一緒に1時間、日本語の勉強しましょうと言い、また、最初から日本語会話入門から始めた。こうしてニコラス家族と仲良くなっていった。

 翌月、2012年3月20日、今度は、塚田守がニコラスに、ヨットクラブに連れて行ってと頼んだ。OKと言い、ニコラスの車で10分でヨットクラブへ着きヨットクラブのメンバーの人達に紹介してくれた。ヨットハーバーの中やレストラン、クルーザーヨットを見て塚田守が入会したいと伝えた。すると入会の書類を書いて推薦人の名前をニコラスが書いて提出した。事務の人が1000ユーロ、今持ってますかと聞くので、ありますと答え入会させてくれた。

 推薦人2人以上が必要と書いてあったが事務の男性が推薦人の所にサインしてくれたのだ。船舶一級をとってクルーズを経験して下さいねと握手した。そして受付の人がクルーズヨットで外洋にでれば、あなたの人生が、きっと変わりますよと笑いながら言ってくれた。その後、毎週土曜日、船舶1級取得のためのヨットの技術指導を受けることになった。並行して英語で学科試験を受験する事にした。

 2012年4月15日に、ニコラスと奥さんのマリア、息子のマリオと弟のアルベルトと塚田守と息子の肇がニコラスのカタマラン型・クルーザーヨットに招待され、約1時間、クルーズしてくれた。この体験でカタマラン型・クルーザーヨットが欲しくなった。価格を聞くと中古で20万から40万ユーロと教えてくれた。ニコラス一家に、お礼を言って家に戻ると奥さんが早く、ヨットの免許取ってと、笑いながら言った。

 その後も毎週、ヨットクラブに出かけて、6月の試験で、学科試験は合格したが、実地試験は、もう一歩で不合格だった。2012年1月、1ユーロ98円となり、1億円をユーロに両替して102万ユーロとなり、残金が2.5億円と206万ユーロになった。2012年9月になると肇が中学3年生、英語もポルトガル語もわかるようになった。数学、英語、理科、数学も、かなり良い成績でだった。

 次回は2012年9月にヨットの実地試験を受けることになり毎週、実施試験の練習をして、9月の実地試験を迎えた。今回は確認しながら慎重に行動していき、ほぼノーミスで実地試験に合格した。この知らせを聞いたニコラスが一緒に船を探しにいこうと言い、彼が、いろんな業者に電話してポルトに5年使用した中古で40フィートのカタマラン・クルーザー・ヨットが25万ユーロで売りたいと言う人がいる事を見つけた。

 他では30万ユーロ以下では買えないと言った。来週、ポルトへ行って見ようと言われて、一緒に交渉に行ってくれることになった。2012年10月2日土曜、朝8時、ニコラスが塚田守を迎えに来てくれた。その後、車を飛ばして3時間でポルトのヨットハーバーの待ち合わせ場所に行くと持ち主の白髪の男が待っていて挨拶して握手をした。彼は65歳でヨット好きだったのだが、昨年、健康診断で心筋梗塞がわかって手術した。

 その後、家族から心配だから海に出るのを辞めてくれと言われて残念だが船を手放すことになったと語った。このヨットを大事に使ってくれと寂しげに語った。次に値段交渉をしようとニコラスが言うと25万ユーロでOKと塚田守が伝えた。塚田が大事に使いますと言い、その男と握手すると彼が塚田をハグして頼んだぞと言った。その後、ニコラスがヨットを点検させて欲しいと言いヨットハーバー周辺を一回りしてエンジンや船体に傷や問題が無いか確認した。

 ニコラスが価格交渉しようと言うと塚田守が必要ないと言った。すると持ち主の老人の目には涙が浮かんでおり固い握手をした。そして彼の電話番号と住所、名刺、銀行口座番号を聞いて入金を約束した。来週土曜に午後13時に再会して、船を引き取る事になった。翌週の火曜日の朝、今日、入金すると伝え確認できたら電話して欲しいと言った。午後15時に入金が確認されたと彼からの電話が入り契約成立した。

そして2012年10月9日土曜、ヨットハーバーで会おうと言った。その日、朝8時に待ち合わせ、近くの地下鉄の駅から、リスボン駅に行き特急列車で11時過ぎにポルトに到着。ポルトのカフェで昼食をとり歩いてタクシーで10分でヨットハーバーに行くと売り主の男が来ていた。にこやかな顔で、早めに来て、きれいにしておいたと話した。リスボンまでヨットで帰るのだろと言い燃料は満タンにしておいたよと笑いながら言った。

船の関係書類一式と管理書を渡して大事に使ってくれよなと言って握手してキーを2つ渡してくれた。その後、船に乗り込んで最初はニコラスが運転して塚田守が隣について運転を習い途中で運転を交代する事にした。エンジンをかけヨットハーバーを出る時、遠ざかって小さくなっても、ずっと愛おしそうにボートを見送る姿に思わず涙がこみ上げてきた。
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