第２２話：「最終章」肇が米国の大学に合格

　その後、学食で昼食をとって、すぐにカリフォルニア大学・サンディエゴに移動した。キャンパスを一通り回り１５時から受験担当官との面接をした。面接官が、なぜ、この大学を選んだのか聞かれ、ソフトウェアの勉強がしたいと答えた。卒業したらグーグルに入社して、がっぽり稼ぐと言うと面白い日本人だと話しジョークのセンスなら合格だと面接官が言った。もちろんジョークだがねと言い合格、不合格を決めるのは、私じゃないよと笑った。

　私だったら君を絶対に合格させるのにと言って大笑いした。全行程を終わりトミーが、そのジョークのセンスを忘れるなと言った。そういうのがアメリカン人には受けるから今後も、こう言う話を使えと指示した。そして２泊しニューヨーク経由でリスボンに帰った。その後、２０１４年９月１６日、カルルーチ・アメリカンスクールで、クラス担任の先生に呼ばれた。職員室に行くと大学に提出する書類をもらった。

　そして塚田肇に、この学校で努力して成績もトップだし他の生徒や後輩の面倒もよく見ていたとできるだけ良いコメントを書いておいたと教えてくれた。そして合格すると良いねと言われた。２０１４年１０月に入り提出書類をチェックして同じ物を２つ作りサンディエゴ州立大学とカリフォルニア大学・サンディエゴ校へ送った。やがて２０１５年を迎えた。いよいよ、今年２０１５年の春には、塚田肇の米国の大学受験の合否がきまる。

　しかし肇はベストは尽くしたと言い、落ちついていた。３月に入り２０１５年３月１７日に、カリフォルニア大学・サンディエゴ校の合格の通知が来た。その晩、家庭教師をしてくれたトミーを呼んで合格祝賀パーティーを開いてご馳走を食べてシャンパン、コーラで乾杯して大喜びした。この時、塚田守がトミーに家庭教師してくれたボーナスだと言い、合格ボーナスだと言って１０００ユーロ入った封筒を渡すと、ありがとうと握手を求めてきた。

　その後、２０１５年４月２日にサンディエゴ州立大学の合格通知が届きカリフォルニア大学・サンディエゴ校には合格できなかった。そしてサンディエゴ州立大学に入学する事を決めて、カルルーチ・アメリカンスクールに報告すると優秀な大学に合格して本当におめでとうと言われた。そして職員の方達が拍手をしてくれた。その後、実家の塚田一郎に知らせると塚田守の口座に肇の合格祝いだと言って４００万円を送金してきた。

　そして２０１５年４月１９日、リスボンと出発してニューヨーク経由でサンディエゴに到着した。その後、大学の近くのアパートを借りて大学生活を始め塚田肇がアメリカのシティバンクに口座を開き、その口座番号をポルトガルの塚田守に連絡すると、すぐ、２０万ドルを塚田肇の口座に送金した。一方、その頃、世界情勢に大きな変化が起き始めた。２０１６年イギリスがEUから離脱するかどうか国民投票を６月２３日に行わた。

　その結果、残留支持４８％、離脱支持５２％の僅差で大方の予想を覆しＥＵ離脱となった。これがヨーロッパでは大問題となりＥＵ内部でもドイツ、フランスが経済好調だけで、イタリア、スペインの経済状況は悪くギリシャは最悪だった。以前、２００９年にギリシャ危機がおきたが２０１１年になってもギリシャのの債務残高がＧＤＰの１７０％もありＥＵが支援プログラムを作り３２００億ユーロ、４１兆円を融資した。

　その後、ＥＵ内部で、債務残高の多い国として、Ｐ・ポルトガル、Ｉ・アイルランド、Ｉ・イタリー、Ｇ・ギリシャ、Ｓ・スペイン、頭文字をとってＰＩＩＧＳと名付けた。という事で、ポルトガル経済の状況は悪く大企業が少ない、そのためリスボン大学の経済学部の優秀な人材はアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、北欧へ流れていくようだ。２０１５年８月に次女・美恵子が高校３年生になりリスボン大学をめざしていた。

　もしリスボン大学に合格したら大学在学中に２年間、アメリカの大学留学がしたいと言い父が了解した。しばらくして２０１６年１月を迎えた。２０１６年５月にリスボン大学を受験して、合格した。美恵子がリスボン大学に合格したと父、塚田一郎に知らせると塚田守の口座に４００万円を送金してくれた。そうして、２０１７年１２月１８日の朝１０時に、和美とカルロスと家族３人の合計５人で食料と飲み物をたっぷり持ってリスボンの港を出発した。

　そしてクルーザーヨットでナザレまで出かけた。ナザレに着いたのが午後１３時過ぎ。ナザレのカフェで一休みして午後１４時に出航してリスボンへ。シントラに着く頃、夜空に星が見え、この夜、大きな満月。その満月の光の道が、まっすぐに船に向かって見えた。まるで、これからの塚田家の幸せな未来を照らしてる様。塚田守と塚田美鈴さんは、今までの波乱に富んだ人生を走馬燈のように思い出し、思わず涙があふれてしまった。「終了」