第20話:父の脳梗塞を予知?!

文字数 2,190文字

 奥さんが、落ち着いてと言うと、わかるんだ、俺にはわかるんだ、もう少しで、父親の頭の血管が詰まって死んじゃうと言った。でも、ここでは何もできないと言った。そうだと言って、町の灯りが見えたナザレに全速力で、船を走らせた。もうー間に合わないと言いながら、15分位で、着いて、港の交番に行って、急ぎだと言って、電話を借りた。塚田一郎の家に電話すると奥さんが出て、夜遅くに誰というと、塚田守ですと言った。

 お父さんを見て脳梗塞でやばい救急車を呼べと言った。少しして廊下を走る音がして大変、救急車を呼ばなくちゃと言って電話を切った。仕方なく、おまわりさんにお礼を言って立ち去ると不思議そうに顔を見た。船に戻って全速力でリスボンに着いたのは2013年8月11日の夜中の12時半。家に帰って日本の父の家に電話をかけても誰も出ない。4時間後の午前4時半に塚田守に電話が入った。

 父の塚田一郎が脳梗塞で病院に運ばれて、すんでの所で助かったと言った。守さんの、お陰だよと、言い、ところで何で知ったの、それもポルトガルにいたのにと不思議そうに言った。そこで事の顛末を説明すると、嘘だ、そんな事あるはずないと言い張った。しかし真実は、そうだよと説明。「まーどっちにしろ命は助かって良かった」と言った。後は、リハビリで、どれだけ回復するかだと言った。ともかく、ありがとうねと、母が言った。

 そして数日後、また電話があって回復が早く、多少、手足に不自由は残るが杖をついて、歩行できると伝えてくれた。もしかしたら退院までに記憶も完全に戻るかも知れないと言った。3週間後、2013年9月1日、また母から電話が入って記憶も戻ったとつげた。それが不思議なんだよ、激しい頭痛に襲われた時、誰か聞き覚えのある声で頑張れ死ぬんじゃないと、叫ぶ声が聞こえたと思った。

 そうしたら廊下を走る音がして家内に何か言われ、すぐ救急車を呼んで、ぎりぎりのところで助かったようなんだと意味不明のことを言うんだよと話してくれた。まー、どんな不思議なことであれ、お父さんの命が助かったのは本当にありがたいと言った。その後、2013年9月3日、塚田守が父に会ってくると奥さんに言うと行ってらっしゃいと告げた。大丈夫、留守は守るからと言ってくれリスボンから日本へ向かった。

 塚田守は父の所へ行って助かって本当に良かったと言うと思い出した。あの時の声はお前だと言った。救急車を呼べって言ったと驚いた。それを思い出し、あまりに気味が悪いので、お母さんが、菩提寺の和尚さんに、その話をした。すると稀に、そう言う事もあるようで、それは息子さんが、御両親への愛情が余程強買ったのでしょう。「どんなに離れていても以心伝心で伝わるという話は聞いたことがある」と説明してくれた。

 その話を聞いて父が塚田守を近くに呼んで呼んで本当にありがとうと涙ながらに言った。そして、この俺は、お前に恩返しすると言って、お前の今、使ってる銀行はと聞いた。そこで三菱UFJ銀行リスボン支店と言うと、俺も三菱銀行だと言い、口座番号を書いておけと言った。昔、株で儲けた金の一部を送ると言ってくれた。そうして、塚田守は、両親に、我が儘言って、勝手に、ポルトガルに渡って、申し訳ないといった。

 すると向こうで良い家庭を作って子供を立派に教育して一人前の素晴らしい大人に育て上げろと言ってくれた。その後、申し訳ないけれどポルトガル帰りますと言って実家を後にした。2013年9月10日に日本を離れた。ポルトガル到着し、数日後、電話で三菱UFJ銀行リスボン支店から電話が入った。「日本から、1億円の入金があったのですが、ご存知ですか、心当たりはありますかとの質問」。「あります、父、塚田一郎から送られたものです」と答えた。

 了解しましたと言い、マネーロンダリングをしっかり取り組むように言われて、お尋ねしただけで、悪意はありませんので、ご了解下さいと丁重に話した。そこで大変ですねと伝え電話を切った。父の1億円の送金で2013年9月、3.5億円と181万ユーロになった。2013年9月に三男の肇が高校1年生、次女・美恵子が中学1年になった。肇は、アメリカの大学に進学したいといってクラブ活動や、生徒会やボランティア活動を積極的にこなしていた。

 父のクルーザーヨットで家族全員で食料品や飲み物、ケーキを買い込んで朝9時、ヨットハーバーを出てリスボンから北へ100kmのペ二シェ岬まで行くクルーズ旅行に出かけた。次女・美恵子が思い起こせば2011年3月11日の東日本大震災で完全に呆然実質となり地震大国、日本を離れる決意をした。そして父が家族全員に日本を離れると言いだし、「まさか、嘘ー!と一瞬、思った」。しかしポルトガル移住の話を進め、どうなるか内心、心配していたと話した。

 しかしポルトガルに来ると日本より、ゆっくりと時間が流れ素晴らしい自然と気候に、なじんで好きになった。またポルトガルの有名私立学校のカルルーチ・アメリカンスクールに入学させてもらい良い環境で勉強と友人達も素晴らしい。この国で頑張っていこうと決意し経済を勉強して、この国と自分の発展のために活躍したいと考えてると話した。最後に父が、じゃー、みんなグラスを持ってと言って、これからの塚田家のみんなの前途を祝して乾杯といった。
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