第13話:リーマンショク2

文字数 2,355文字

 コマーシャルペーパー「企業が短期で資金調達するための、無担保の約束手形」債務78億ドルとレポ債務1970億ドル「2008年3月末」9月のショックで、リーマンの決済銀行であるJPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカはレポ債権の追加担保を要求したが、応じることができず貸付が打ち切られ倒産した。

 一方、AIGは高格付けCDSのデフォルト率「倒産率」を低く見積もっていたのでのネットでの売りポジションをヘッジしていなかった。AIGの売ったCDSは多くの投資銀行に保有されていたので、リーマンと異なり公的資金が投入された。リーマン・ショックはリーマン債を保有していたMMFを元本割れさせた。9月19日、MMF保険創設のため連邦政府が為替安定基金から最大で500億ドルを取り崩す方針が公表。

 リーマン保有のCDSはリーマンの清算価格が8.625%に決まり売り手に91.375%を保証させた。リーマン以外の清算ケースでもCDSは似たような状態であったのでCDSの売り手となっていた金融持株会社、投資銀行、保険会社ヘッジファンドは短期金融市場からの資金調達を金利の急騰に阻まれた。

 欧州系銀行もドル建て流動性資金について同じ状況だったので新興国経済から資本を引揚げて金融危機を波及させ金融危機を波及させた。世界金融危機の中心は銀行に増してシャドー・バンキング・システムであった。これこそが従来の金融危機と異なる特徴であった。シャドー・バンキング・システムとは、非銀行金融仲介機関によって行われるシステムの事。

 非銀行金融仲介機関とは例えばMMF、投資銀行等のレポ取引、特別目的事業体、資産担保コマーシャルペーパー導管体、ヘッジファンド、証券会社、証券化商品発行体、そして個人向けのファイナンス・カンパニー。短期資金を調達し、長期の資産に運用するという満期変換は銀行の場合ロールオーバー・リスクや取り付けの危険をはらんでいる。シャドーバンキングについては、長くなるので省略。しかし、「一番リスキーな金融機関もどき」と言われている。

 一方、日本の機関投資家は系列企業を買収するのに多忙でユーロ債を消化しながらMBSまで消化する余裕がなかった。したがって2008年の金融危機では比較的損失が少なかった。そこで野村證券は破綻したリーマン・ブラザーズの三分の二「韓国を除くアジア・欧州・中東部門」を買収。また三菱UFJFGがモルガン・スタンレーに9千億円出資した。

 それにより日本の金融機関が存在感を見せる部分もあった。しかしその後の株価は急落し経済規模は急速に縮小。日本の金融機関も多額の経常損失と大規模な増資を余儀なくされた。サウジアラビアやドバイなどのオイルマネー、あるいは中国などの政府系金融機関もアメリカの金融機関などへ出資したが、その後の株価の急落や経常損失の発生により多額の含み損が発生。アイスランドやバルト三国では国の財政破綻が懸念された。

 リーマンブラザース倒産後、AIGは高格付けCDOのデフォルト率を低く見積もっていたのでCDSのネットでの売りポジションをヘッジしてなかった。AIGの売ったCDSは多くの投資銀行が保有していたのでリーマンと異なり公的資金が投入。リーマン・ショックはリーマン債を保有していたMMFを元本割れさせた。9月19日、MMF保険創設のため連邦政府が為替安定基金から最大で500億ドルを取り崩す方針が公表された。

 これらの事態を受けて最大7000億ドル「約70兆円」のアメリカ政府の公的資金を投入する緊急経済安定化法案の策定に着手。事前にアメリカ議会指導部と政府の合意が行われ、成立は確実とみられていたが、予想に反して9月29日にアメリカ下院で否決されると、この日のニューヨーク証券取引所のダウ平均株価は史上最大となる777ドルの下落を記録。これで世界中でも急激な信用収縮が起きた。

 その後緊急経済安定化法案は修正を加え2008年10月3日金曜日アメリカ現地時間の午後13時に合衆国下院を通過し成立したが、それにもかかわらずこの日の米国株は後場急落し「欧州の金融機関の危機やカリフォルニア州の州財政の危機などが市場で蒸し返されたとされる」、翌週10月6日から10日の1週間は世界の株式市場で大きく株価が下落。この週で日本の日経平均株価は5日連続で2661円、24%以上も下落。

 ニューヨークやロンドンなどの海外の主要市場も大きく株価が下落。ロシアやインドネシアなど新興国の株式市場では閉鎖に追い込まれるなど深刻な事態となった。これに対して10月8日には欧米の中央銀行が協調利下げに踏み切り、さらにアメリカのポールソン財務長官が記者会見で金融機関への資本注入を示唆したものの株価の下落の流れは不変。そして週の最終日の10日、ついに日本で日経先物の史上2回目のサーキットブレーカー発動。

 この日が特別清算指数算出日「SQ算出日」であったオプション10月限の全ての権利行使価格のプットがストライクしてイン・ザ・マネーとなり米国市場ではボラティリティインデックス「VIX、恐怖指数」と呼ばれる株価変動確率の激しさを表す指数が1997年のアジア通貨危機の約38、2001年の同時多発テロの約45を上回る75を一時超え市場の大混乱。

 世界金融危機は製造業にも波及し2009年6月1日にゼネラルモータースも連邦倒産法第11章の適用を申請し負債総額は1728億ドル「約16兆4100億円」という製造業としては史上最大となった。同時にアメリカ政府が60%、カナダ政府が12%の株式を保有する事実上の国有企業として再建を目指す事になった。
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