幸せな思いを胸に丸の内を一人散歩した

文字数 791文字

時計を見ると、19時前だった。

先日知り合った看護師の方との夕食を約束していた。

場所は東京駅と丸の内のビルの地下にある、洋食レストランだ。

その日の仕事は早番で、退勤時刻は予定より少し遅くなったが、それでも19時前にはあがることができた。

私は百貨店で靴の販売員をしていて、バックヤードを急ぎ足で通り抜け、エレベーターに乗ろうとしたが、このような時に限ってなかなかこない。

エレベーター横にある階段を一気に駆け下り、従業員入口を飛び出した。

19時25分に店の前に着き、彼女にメールをした。

彼女はまだ到着しておらず、今電車でこちらに向かっているとのことだった。

予約をしていたので、お店の人に、先に中に入って待たせてもらうことにした。

彼女にはゆっくりで大丈夫なので、慌てずにいらしてくださいとメールをした。

19時45分くらいだろうか。
彼女が慌てた様子で私の前に現れた。

やはり綺麗で魅力的な女性であった。

お互いに仕事あがりだったので、
主に仕事の話となったが、1時間半ほど食事をした。

大人っぽい考えを持っているところに私は好感を持った。

はっきりとした考えを持ってはいるが、我慢や譲る気持ちも持ち合わせているように見えた。

今となっては、次にお会いできる日を、別れる前にするのだが、

「またお会いできたら嬉しいです。」

とだけ伝えて、彼女と別れた。 


私は少し浮かれていた。


そしてまた会ってくれるだろうと、幸せな思いを胸に、丸の内を一人散歩した。

東京駅丸の内口前の広場では、ライトアップされた駅舎をバックに、写真を撮ったり、ベンチでくつろいだりと、思い思いの時を過ごしている人達がいた。

旅行のガイドブックに載っているのか、外国の旅行者の方が多く、頼まれたので写真を撮った。

一年程前から趣味で写真を始めたのだが、これがなかなか面白い。


美しい夜の丸の内を散歩しながら、今、カメラを持っていないことを悔やんだ。
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