私は彼女に心を奪われていた

文字数 618文字

朝4時過ぎに起き、軽くシャワーを浴び、歯を磨いた。

カメラバッグを背負い、エントランスに行くと、すでに彼女はフリースペースの椅子に座っていた。

夜明け前の暗い道を駅まで歩き、京急蒲田駅から京急線で羽田空港第2ターミナルへ向かった。

6時半から展望デッキが開くので、それまで空港のベンチでコーヒーを飲み、カメラの準備をした。

日の出前の展望デッキは寒かったが、空気は澄み、目の前には幻想的な滑走路の風景が広がっている。

6時50分。日の出を迎えた空港は、光を浴び、長い眠りから覚めたように美しかった。

洋上のD滑走路から海上へと飛び立つ飛行機が、次々と光溢れる雲海へと飛び込んでいく。

そんな光景を見て感動し、私達はシャッターを切った。

ハミングバードデパーチャーという、北風の日の、午前7時半から8時の30分の間の3便に限り、A滑走路から都心方面へと飛び立つ。

私達はターミナル間の巡回バスで第1ターミナルの展望デッキへと向かった。

展望デッキにはすでにカメラを持った人達が、離陸機を狙って待ち構えていた。

天気は快晴、富士山もはっきりみえて、私達は離陸する飛行機を綺麗に撮ることができた。

撮影を終え、私達は滑走路を望むレストランに入った。

トーストにウィンナーにスクランブルエッグ。
そして熱いコーヒーで私達は冷えた体を暖めた。

店を出てベンチに座り、撮影した写真をカメラの液晶画面で見せ合った。


趣味が合い、ニコニコして明るい彼女に、私はいつか心を奪われていた。
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