私は彼女に付き合って欲しいと言った

文字数 797文字

私達は新宿駅の湘南新宿ラインのホームで待ち合わせをしていた。

ドトールコーヒーで時間調整をして、1番線ホームへの階段を駆け上がった。

ピンクの花柄のワンピースを着た彼女は、ホームのジューススタンドの近くでフルーツジュースを飲んでいた。

電車に乗り込み、品川に向かった。

品川プリンスホテルの横の、アクアパークという水族館に私達は入った。

幻想的なライティングで、クラゲが美しかった。

私達はイルカのショーが行われるという、円形の巨大な水槽のあるホールへ向かった。

ベンチに座り、望遠レンズをリュックから取り出し、カメラにセットした。

彼女も同じく、である。

イルカの撮影は難しかった。
水面からいつ飛び出すかわからない。

オートフォーカスを動体撮影モードにし、シャッタースピードを上げた。

うまく撮れなかった時もそれはまたそれで盛り上がった。

水族館をあとにし、私達は横浜へと向かった。

山下公園を散歩し、大桟橋に停泊中の日本最大の客船、飛鳥Ⅱを眺めた。
もちろん写真も撮る。
   
中華街で肉まんを買い、麻婆豆腐を食べた。

麻婆豆腐はべらぼうに辛く、汗だくになって食べていた私を彼女はケラケラ笑った。

夕方になり、山下公園に戻り、港が見えるベンチに座った。

飛鳥Ⅱが出港し、大きく美しい船体がゆっくり横浜ベイブリッジを通過している。

私は彼女に付き合って欲しいと言った。

彼女は大きく頷いた。

私は舞い上がり、山下公園の目の前の老舗ホテル、ニューグランドの高級なバーに入った。

格調高いソファやテーブルでまとめられ、雰囲気があった。

カクテルを飲み、中庭を散歩した。

中庭のスポットライトに照らされた彼女は美しく、女神のように見えた。

そして彼女は私を見つめて言った。

「生クリームがたくさん乗ったパンケーキが食べたい」
と…

私も甘いものを体に入れたかった。

私達は急ぎ足でニューグランドの入り口の歴史ある回転扉をくぐり、ホテルをあとにしたのだった。
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