展望デッキでぶつかった女性だった

文字数 769文字

そろそろおなかが空いてきた。

第二ターミナルにロールキャベツの美味しい洋食屋が入っていたので、そこに向かった。

久しぶりに食べだがやはり美味かった。

売店で缶コーヒーを買い、今度は国際線ターミナルの展望デッキへと向かった。

シャッタースピードを遅くすると明るく撮ることができるが、手振れを起こす為、カメラを一脚に備え付けた。

狙うはオーストラリアのフラッグキャリア、カンタス航空のジャンボジェットだ。

午後10時。

カンタスのジャンボがプッシュバックされ、エンジンをスタートさせた。

独特のエンジン音。

4発エンジンの迫力のある音が響き渡った。

点検を終え、整備士が機体に手を振ると、ジャンボはゆっくりとタキシングし、滑走路からシドニーへと飛び立っていった。

明日の朝の天気は晴れ。

実は早朝便も撮ろうと計画し、空港に来ていた。

一度経験したことがあるが、空港のベンチで一晩過ごすのは非常にきつい。

蒲田にあるカプセルホテルを予約していたのでそこに向かった。

1階にインターネット環境が整ったフリースペースのある、お洒落なカプセルホテルであった。

シャワーを浴び、そのフリースペースで今日撮影した写真をSDカードからノートパソコンに取り込んだ。

周りには仕事をしている人、本を読んでいる人など数名がいた。

私の後ろでは若い女性がパソコンをいじっていた。

その女性がバッグの荷物を取ろうとふと横を向いた。

午前中、展望デッキで肩にぶつかった女性だった。

お互いに二度見をするくらい驚き、そして笑ってしまった。

彼女も私と同じようにパソコンに写真を取り込んでいた。

その後、しばらく飛行機や写真のことを話した。

明日の朝、早朝便を撮る目的も同じであった。

私達は明日の朝5時過ぎにフロントで待ち合わせをする約束をした。

カプセルに入り、ロールカーテンを下ろし、きれいに畳まれた布団に潜り込んだ。
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