私達は台北を巡ることにした

文字数 798文字

彼女の名前は冬美といった。

冬美も私も出かけるのが好きで、よくドライブや、電車に乗って少し遠くへ出かけたりした。

お互い写真を撮るのが趣味であったので、そういったところでも気が合った。

そして2泊3日、台湾に旅行することになった。

車で冬美を職場の近くまで迎えに行き、スターバックスでガイドブックを片手に作戦会議をした。

私は細かいところがあり、行く場所や時間も綿密に計画するタイプであった。

冬美はどちらかというとおおらかなタイプであり、その時の気分で行く場所を決めるようなタイプだった。

二人とも初めての台湾ということで、台北を巡ることにした。

出発の朝、私は始発の電車に乗り、東京駅八重洲口のバスターミナルに向かった。

冬美はターミナル近くのローソンでペットボトルのお茶を買ってきたようで、私にも1つくれた。

バスは空港に着いた。

LCC用のターミナルに入ると、すでに沢山の人々でごった返していた。

私達はチェックインをし、スーツケースをカウンターに預けた。

朝食のちゃんぽんをフードコートで食べ、手荷物検査場へと向かった。

そして出国。

私としては女性との海外旅行は初めてであったので、少しだけ緊張していた。

この間の香港旅行の時に飛行機の窓から見えた台湾に、彼女と行くことになるとは思わなかった。

ボーディングブリッジを渡り、私達はエアバスA320に乗り込んだ。

上の棚のチェックをCAの方達が始めた。

私達の席の上の棚もチェックしにCAの方が手を伸ばした。

長身の美しいCAだった。

私は一瞬見とれていたが、ふと我に帰り、彼女の顔を見た。

彼女はそんな私に気づいていたらしく、膨れっ面だ。

やってしまった…

気まずい雰囲気を紛らわそうと、私はガイドブックを広げ、旅行の予定を確認しているふりをした。

しばらくすると、先程の美しいCAが私の横の通路で、緊急時の案内を始めた。

私は不覚ながらもガイドブックを見つめることしかできなかった…。
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