第22話 家電製品に「時代」を見ました。

文字数 997文字

 先日、電子レンジを買い換えました。しばらく前から、レンジ庫内の灯りが点かなくなり、押しボタンの感度も悪くなり……そろそろかな、と思うようになったんです。まあ、私が一人暮らしを始めた1999年から一緒に生きてきた「長老」ですから、仕方がないですね。ていうか、使い過ぎ?(笑)ともかく「長老」、お疲れさまでした&ありがとうございました!

 そんなこんなで、我が家には2023年製の真新しい電子レンジがやってきました。それにしても、最近の家電製品の多機能ぶりは凄いですね。電子レンジに関わらず、恐らく私は一生使わないであろう多機能メニューが盛り込まれている最新家電たち。技術の進歩というか、メーカーさんの努力に感心してしまいます。あの子たちの潜在能力を100%発揮させてあげることは……断言できます。私には無理ですね!申し訳ありませぬ!!
 というわけで、我が家にやってきた最新式の電子レンジくん。コンパクトサイズで、必要最小限の機能のものです。「温め」と「トースト」機能があれば、私には充分なので。いい買い物ができたと思います。
 早速使ってみましたが、うん、いいですな。これまでの「長老」だと、たとえば冷飯を温めると、その器自体もかなりアツアツに仕上がっていたんですが、「ルーキー」くんだと、器はさほど熱くならないのにご飯はしっかり温まっている……進歩してますね!感動です。「長老」から「ルーキー」までの「空白の20数年の間」に、時代は確実に流れていたようですな。

 今回の「家電買い替え騒動」で、私がもっとも時代の流れを感じたのは、家電品の性能の向上度合の大きさではありませんでした。では何か?それは音です。正しくは、「音の速さ」です。
 「温めが終わったよ~」のお知らせ音。「長老」も「ルーキー」も、同じような「ピーッピーッピーッ」という電子音です。ただ、そのテンポが全く違うのです。「長老」はどこかのんびりと悠長に構えて、およそ5秒間、声を発していました。ところが「ルーキー」は、なんだか急かすように、焦っているように3秒間だけ叫びます。この差には、「製造された時代の速度」の違いが表れているようでなりませぬ。「ルーキー」の「煽るような余裕のない感じのお知らせ音」が、そのまんまこの国の現代社会を象徴しているように感じました。

 そう感じるのは、私自身が今の時代についていけてないからなんでしょうね。
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