第18話 教授の偏狭

文字数 584文字

 メンタルが上向いてきたところで、なんの脈絡もなく、思い出話をひとつ。

「講義に出席して課題レポートもちゃんと出せば、あの科目は間違いなくA判定もらえるよ。」
という先輩の話を聞いて履修した、ある教授の「考古学A」という教養科目。実際に古墳の発掘調査などに携わっていた先生ならではの、フィールドワーク時の話など面白い話も聞けて、楽しめました。
 
 その講義は冒頭で「出席カード」が全員に配られ、講義終了後、その日の日付と氏名を記入して教授に手渡してから退室する、というシステム。嫌いな分野ではないし、興味もあるので、私はその講義に必ず出席していました。夏季休暇と年度末近くに課されるレポートも、テーマ・形式は自由。とにかくゆる~い科目だったんです。

 普通にやってれば、間違いなく「A判定」が取れる。

 年度末近くに提出したレポート。私はその年度の講義内容について自分なりの総括をし、提出しました。

 レポートの最後に、
 「一つだけ、どうしても気になることがあります。古墳の発掘という行為は、学問という免罪符で守られた”墓暴き”ではないでしょうか?」

という一文を付してみました。

 私の「考古学A」の評定は、「C判定」(ギリギリで単位だけはくれてやる!)となりました。ちなみに私より出席率が低かった学友たちはみな、安定の「A判定」でした。

 やっぱりね。

 しょせんそんなもんですよね。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み