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文字数 584文字

「ハヤシライスって……それ、今食いたいだけだろ」
「うん、つまみだけじゃ足りなくて。お前らも何か食べたいものあるか? 俺たちが買い出し行ってくるぞ?」
「じゃあ、プリンお願いしまッス!」
「私は野菜スティックを……」
「僕はないです」
 なんだ、買い出しに行きたかったのか。っていうか、さらっとこいつみんなに気を遣ったのか? 本当にそういうところ勝てないよなぁ。さっきもカップ麺持って様子を見に来てくれたし。
「じゃ、行くぞ」
「おう」
 俺たちは一度宴会から抜けると、コンビニへと向かった。
 コンビニの中はさすがに暖かい。春の夜と言っても冷えるからなぁ。体を軽くこすっていたら、羽田が笑った。
「お前は寒かっただろ。場所取りもしてたからなぁ」
「ったく、お前には勝てねぇよ」
 さらっとこういうことがスマートにできるところが好印象なんだよなぁ、こいつは。
 カゴを持つと、頼まれていたプリンと野菜スティックを入れる。そして、羽田のメシだ。俺もつまみ以外のものが食べたいな。おにぎりとサンドイッチだったら、俺はおにぎり。いくらと……。
「あっ」
 羽田と手がぶつかる。
「お前もいくらか」
「ああ。あとツナマヨ」
「セレクトがまったく同じなんだけど」
「……やっぱ俺たち、似たもの同士なんだな」
「ホントだなー」
 まったりと同じ時間を過ごしていく。そんな仲も悪くないかな。そう思える春の夜だった。【END】
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