文字数 348文字

 俺は手前にあった肉じゃがを取り箸で紙皿によそうと、口に入れた。うん、味が染みてうまいな。おっと、みんなの料理も褒めろって羽田に言われてたんだっけ。
「肉じゃが、誰が持ってきたんだ? なかなかおいしいぞ」
「あっ、それは私ですよ。お口に合ってなによりです。自分の料理って、自分でおいしいかどうかわからないんですよね」
 名乗り出たのは川上だった。隣の羽田も無言で肉じゃがを食べている。無言だと思ったら、ぼそっとこういった。
「……肉じゃがの材料とカレーの材料って、ほぼ一緒なんだよな。肉じゃがは糸こんとかも入っているけど」
「もしかして、カレーのほうがよかったですか!?」
「え!?」
 羽田の何気ない一言に反応する天然な川上。カレーがよかったですかって……。

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