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文字数 476文字

「そんなことないぞ」
「え?」
「人って言うのは暗い部分もあるかもしれんが、明るいところだってある。一面だけで自分を決めつけるなよ」
「先輩……」
「お前、なかなかいいこと言うじゃん」
「うるせぇ、羽田!」
 なんかいいこと言った後は、少し恥ずかしくなるのはなんでだろうな? 羽田だけじゃなく、堀川も茶化す。
「先輩の名言出ましたー!」
「うるせぇ!」
「……ぐすっ、先輩……一生ついていきますっ!!」
 ぎゅううっっと糸魚に羽交い絞めにされると、俺は苦しくなって、みんなの顔を見る。が、助けてくれそうにない。みんな面白がってるな!?
「お、おいおい! 助けてくれよ!」
「いや、だって、普段無口な糸魚がここまで話すのなんて珍しいじゃん」
「そっスよ!」
「同学年の私たちには見せない顔ですよ?」
「ううっ、先輩~っ……!」
 ったく、手のかかる後輩だなぁ。ま、普段話せないことを話してもらえたのは嬉しいかな。それは俺だけじゃなくて、きっとサークルのメンツも一緒だろう。糸魚がこれからももっと心を開いていってくれるといいなと考えながら、俺は糸魚の背中をまたトントンと叩いた。【END】
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