第7話

文字数 655文字

 俺がキレた次の授業。
 横で凝視してくる蘭花に構わず、真面目に歴史の授業を受けている。

「えー、源頼朝は、えー」

 先生がのんびり口調で、鎌倉時代の話をしている。
 その時、俺のノートに何かが落ちた。
 黒い塊のそれは、消しカスだ。
 俺はため息をつきながら隣の女子を見た。

「なんだよ、蘭花」

 彼女が嫌そうな顔をして、消しカスを手に取って投げてくると、今度は腕に当たった。
 消しカスを払うと、また投げてきた。

「何だ」
「別に」

 シャーペンを手に取り、遊び始めた蘭花。

「あんた、意外だったけど、怒るんだね」

 むすっとした表情で、蘭花がこげ茶の髪をシャーペンにクルクルと巻き付ける。

「今回が初めてだよ、妹以外にあんなに怒ったのは」

 俺には五歳下の妹がいる。
 二日に一度は口喧嘩をしている。
 殴られたりするが、俺の方が力が強いので、こちらからは物理的な攻撃はしない。

「そうなの」

 自分から聞いたのに、どうでもいいような答えをした蘭化から視線を外し、黒板を見る。

 ‥‥覚える人物とか言葉多すぎだろ
 えっと、北条政子……っておい!また投げてくんな!

 蘭花がまた消しカスを投げてきたので、ギロリと睨んでやったが、無効果。

「私、あんたが大嫌い」
「‥‥俺もだよ」

 俺が面倒くさそうに答えると、蘭花はつまんなそうにそっぽを向いた。

 何だよ、構ってほしいのか?

 そんな女子に構う余裕がない俺は、消しカスを一回投げ返すと、蘭花が憤慨し、消しゴムをちぎり始めた。

 平凡な高校生活を送りたい!!

 ちぎられた消しゴムを投げつけられながら、俺は思った。
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