第17話

文字数 896文字

 ベッドの上で寝返りを打つ。今日の出来事と彼のことを考える。
 私は幹人が嫌いだ。
 無視しておけばいいのに、私にキレて。
 だから私は復讐をしている。
 でも、嫌い嫌い言いながらも心の奥底で何かが違うことを言っている。
 そして、日々それが大きくなっていくのを感じている。
 一緒にいたい、話したい、彼のことを知りたい。
 そう思うようになってきてしまった。
 そこで、ありとあらゆる手を使って近づこうとしたが、邪魔ものが入ってきた。
 竹中琴美。
 幹人の幼馴染で、彼に恋に落ちている女。
 今日食堂で出会ったけど、かなり好きだということが分かった。
 幹人はそのことに気づいてはいないが。
 琴美が何だかライバルに見えてきたので、彼女にそのことを耳に囁くと、「そうね。これからよろしく」と返された。
 あーもう彼女のことが気に食わない。
 ライバルとしてこれからよろしく。
 食堂で私は頭の中でそう言うと、彼女と視線を交わした。
 これから長い戦いが始まる気がした。
 そして、夜空を仰ぎながら、彼の顔を思い描いた。

 ベッドの上で天井を仰ぐ。
 私は幹人くんのことが好きだ。
 幼いころからのお友達で、ずっと彼のことを想っている。
 これからも一緒、と思っていたら邪魔をする子が現れた。
 桜内蘭花。
 蘭花のことは彼女が幹人と関わる前から知っていた。
 学校一の美人だが、性格が悪いことで有名だからだ。
 なるべく関わりたくなかったが、幹人と仲良くしているところを見て、そういうわけにはいかないと思った。
 食堂でクズ野郎を殴った後に、幹人くんと彼のお友達と蘭花とご飯を食べいたのだけど、蘭花にライバルって言われたの。
 きっと蘭花は幹人くんのことが好きなんだわ。
 だから彼女は私のライバル。
 でも、もし幹人くんが蘭花のことが好きなのであれば、応援するつもりよ。
 優しい幼馴染として。
 幹人くんに好きな子ができるまではね。
 それまでは幹人くんに近づく子ときっと戦いになるはずだわ。
 私はふぅと息を吐くと、窓から見える幹人くんの部屋に視線を止めた。
 開けられた窓から、彼がベッドの上に寝転ぶ姿が見える。
 私は口の端を上げると、眠りについた。
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