第16話
文字数 1,088文字
琴美は幸い、ド変態切れ目不良からの反撃を食らうことなく、今は平然と昼食を摂っている。
他の人はボーっとしたまま箸を進めている。
まぁ、彼らは琴美の裏の姿を見てしまったのだからな。
俺は琴美にお礼を言うと、「幼馴染だから、当然でしょ」と返された。
一応琴美の裏の姿は知っていたが、暴力をふるう姿を見るとやっぱり怖い。
優しい幼馴染だと思って喜べいいのか、いつか自分も同じ目にあってしまうのではないのかとビクビクすればいいのかが分からない。
俺が考え込んでいると、蘭花が俺達の近くにやってきた。
「どうしたのか?」
蘭花は俺のことを無視し、無表情で琴美のことを見据えている。
「あんた、名前何?」
琴美が蘭花は無愛想で性格が悪いことを知っているからか、名前を尋ねられたことに驚きを隠せていない。
「竹中琴美よ。……貴女は?」
「蘭花」
短く蘭花が答えると、無言で琴美の隣に座った。
「幹人の幼馴染?」
「う、うん。そうだよ」
不良の顔面を殴った女子が蘭花に怯えている。
理星と弘秀と俺は、何が起こっているのかがよく分からず、二人の話の成り行きを静かに見守る。
「結構力が強いんだね」
蘭花が自分の弁当を食べながら聞いた。
目を白黒させている琴美は大丈夫なのだろうか?
「え、えっと……何のこと?」
おい、知らない顔をすんな。さっきの出来事を指しているってわかるだろう?
琴美は恥ずかしがり屋のようで、顔を真っ赤にしていた。
「あの男、私によくナンパをしていたの。私もイラついて脛を蹴ったことがある」
蘭花はウィンナーをかじった。
パキッといい音が出る。
「で、でも私は幹人くんがいじめられそうだったから止めただけよ。イラついてはいなかったわ」
うん、琴美、あの時のお前の目は怒りで燃えていたよ。
「へぇー、幹人が好きなんだ。付き合っているの?」
蘭花が挑発するような目を琴美に向けた。
水を飲んでいた俺は、むせ込んだ。
「琴美が俺のことが好きなわけないじゃん。ただの幼馴染という関係さ」
俺は蘭花を見ていたので、「ただの幼馴染……」と悲しそうに目を伏せた琴美は見えなかった。
蘭花が無言で琴美を見つめ続ける。
「なるほど」
『何が?』
彼女の言葉に、俺、琴美、理星、弘秀は声をそろえて聞いた。
「何でもないよ。で、琴美」
蘭花は琴美の耳元で何かを囁くと、琴美は顔をしかめ、囁き返した。
そして、互いを刺すような視線を交わすと、それぞれの食事を再開した。
何だか物凄く剣呑な空気が流れていないか?
彼女達の間がビリビリしているのを感じながら、俺は自分の弁当に視線を落とし、箸を進めた。
……女子って分かんねぇ。
他の人はボーっとしたまま箸を進めている。
まぁ、彼らは琴美の裏の姿を見てしまったのだからな。
俺は琴美にお礼を言うと、「幼馴染だから、当然でしょ」と返された。
一応琴美の裏の姿は知っていたが、暴力をふるう姿を見るとやっぱり怖い。
優しい幼馴染だと思って喜べいいのか、いつか自分も同じ目にあってしまうのではないのかとビクビクすればいいのかが分からない。
俺が考え込んでいると、蘭花が俺達の近くにやってきた。
「どうしたのか?」
蘭花は俺のことを無視し、無表情で琴美のことを見据えている。
「あんた、名前何?」
琴美が蘭花は無愛想で性格が悪いことを知っているからか、名前を尋ねられたことに驚きを隠せていない。
「竹中琴美よ。……貴女は?」
「蘭花」
短く蘭花が答えると、無言で琴美の隣に座った。
「幹人の幼馴染?」
「う、うん。そうだよ」
不良の顔面を殴った女子が蘭花に怯えている。
理星と弘秀と俺は、何が起こっているのかがよく分からず、二人の話の成り行きを静かに見守る。
「結構力が強いんだね」
蘭花が自分の弁当を食べながら聞いた。
目を白黒させている琴美は大丈夫なのだろうか?
「え、えっと……何のこと?」
おい、知らない顔をすんな。さっきの出来事を指しているってわかるだろう?
琴美は恥ずかしがり屋のようで、顔を真っ赤にしていた。
「あの男、私によくナンパをしていたの。私もイラついて脛を蹴ったことがある」
蘭花はウィンナーをかじった。
パキッといい音が出る。
「で、でも私は幹人くんがいじめられそうだったから止めただけよ。イラついてはいなかったわ」
うん、琴美、あの時のお前の目は怒りで燃えていたよ。
「へぇー、幹人が好きなんだ。付き合っているの?」
蘭花が挑発するような目を琴美に向けた。
水を飲んでいた俺は、むせ込んだ。
「琴美が俺のことが好きなわけないじゃん。ただの幼馴染という関係さ」
俺は蘭花を見ていたので、「ただの幼馴染……」と悲しそうに目を伏せた琴美は見えなかった。
蘭花が無言で琴美を見つめ続ける。
「なるほど」
『何が?』
彼女の言葉に、俺、琴美、理星、弘秀は声をそろえて聞いた。
「何でもないよ。で、琴美」
蘭花は琴美の耳元で何かを囁くと、琴美は顔をしかめ、囁き返した。
そして、互いを刺すような視線を交わすと、それぞれの食事を再開した。
何だか物凄く剣呑な空気が流れていないか?
彼女達の間がビリビリしているのを感じながら、俺は自分の弁当に視線を落とし、箸を進めた。
……女子って分かんねぇ。