文字数 381文字



世知辛世の中になったものだと
しみじみ思うなんて
歳をとったのも一つだけど
兄弟なんて所詮他人なんだと思った日
年老いた母やこれからのことで
三十路も過ぎたいい大人だというのに
未だに進路も決めかねて
遊び呆けてる弟を叱った時
あんたは良いよね色々恵まれててとか
なりふり構わず手に入れた今の日々を
彼にとっては簡単に手に入れたと思う
その了見の狭さに
同じ風景をほんの少しでも
眺めてきたはずなのに
見てきたものの価値は全然
同じじゃないんだと知った
40も過ぎて出戻りで子どもがいない
独身女を
世間では認めてない馬鹿な風習があるのに
何もない身近で済ませて転がり続けてる
あいつらには眩しく見えるらしい
五体満足で顔だってそこそこましで
使う気になれば私より優秀な頭も持ってて
しかも私が失った若さを
まだギリギリ持ってるのに
使いもしないで無い物ねだり
明日から兄弟じゃなくても良いと
本気で思った情けない夜
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