第32話 ハイド伍長の任務に同行する!
文字数 2,763文字
俺達の楽しい休暇はあっという間に終わってしまったぜ。
司令室からの連絡を受けた俺達はマティアス司令官の元へ向かう。
「先日までの活躍、見事だった。
「……え? どういうことっすか?」
「何を言っている。諸君はビーチで調教プレイを楽しんでいたじゃないか」
どういうことだ? 確かあの日のビーチにマティアス司令官はいなかったはずだ。
マティアス司令官はパソコンの画面を俺達へ見せる。
そこには、俺とレイさんが男どもを調教し、ミカエルとヨウスケがその様子を撮影する映像がしっかり映し出されていた!
「「「「ファッ!?」」」」
「……という事だ。なかなか楽しませてもらったぞ」
これってあの時、俺達に撮影依頼してきた野郎の仕業か!?
まぁ、調教師やってる俺がこのビデオのことを他人に知られたところで恥ずかしくねぇけどな。
「さて、冗談はここまでだ。次の任務について説明しよう。諸君ならば、
「彼ら……? ということは、私達は軍人さん達と行動するのか?」
「その通りだ。今回からはハイド伍長、ナイト軍曹、エーリッヒ大佐と共に任務を遂行してもらう」
「あの3人と一緒に任務か。ワクワクすっぞ!」
「彼らは普段、独立して行動している。まとめて3人と行動するわけではない。まずはハイド伍長の部屋に行き、彼の任務を受けてくるのだ」
「かしこまり!」
軍人さん達と仕事するのは楽しみだぜ。早速俺達はハイド伍長の部屋へ向かった。
「よう、待ってたぜ! 俺の用事に付き合ってくれるって本当か?」
「おう! マティアス司令官の指示でハイド伍長と同行することになったぜ!」
「よく言ってくれた! じゃあ今から内容を言うから聞いてくれよ。これから"電波塔"に向かい、謎の電波を止めに行くぜ。どうやらその電波が周りの生物に悪影響を及ぼしているらしいんだ」
フルーツの森や廃坑に危険生物が多かったのは電波が原因だったのかよォ!?
てっきり生物兵器研究所跡地から流出したものかと思ったぜ。
「なるほど。どうりで軍事基地周辺は危険な生物が多いわけなんだ」
「じゃあ早速電波塔に行って、その電波を発信している元凶を潰しにいこうじゃないか」
「決まりだな! 準備ができたら出発するぞ!」
「かしこまり!」
俺達は準備を終えた後、ハイド伍長と共に電波塔へ向かう。
山と森に囲まれた
電波塔の外観は老朽化が激しく、壁のあちこちに亀裂が入っている。だいぶ年季が入っているようだ。
生物兵器研究所跡地に似た雰囲気の建物だが、電波塔はより無機質さが漂う。
「ここには棄てられたロボット達が徘徊しているんだ。廃棄ロボットとはいえ、生物兵器研究所跡地の生物兵器よりも遥かに強いから気をつけるんだぞ」
「マジ? 生物兵器どももなかなかの強さだったゾ……」
「安心しな。俺も君達の命を預かってるからには精一杯戦うぜ!」
「頼りにしてるぜ、ハイド伍長!」
生物兵器より強い廃棄ロボットがいようが、ハイド伍長がいれば心強い。
電波塔の中に入ると、そこは壁と床が金属で覆われた空間だった。年季が入っているせいか、全体的に錆びついていて薄暗い。
そしてこのフロアには、ドローン型の浮遊ロボ、ゴーレム型のロボ、銃を持った人型クリムゾンロボが徘徊している。やっぱり危ねぇじゃねぇか!
入口の向かい側に2階への階段が見えるが、その手前は緑色のレーザーで覆われていて先へ進むことができない。
「これじゃ先へ進めねーな」
「このレーザーを消す装置を探しにいこう」
このフロアのどこかにレーザーを消す装置があるはずだ。早速探しにいくぜ。
俺達がフロアを探索していると、4体のロボが襲い掛かってきた!
「早速来たな。俺の力を見せてやるぜ!」
ロボどもが攻撃態勢へ入る前に、ハイド伍長が小型バズーカを構え、ロボどもの頭上へ砲弾を放つ。
砲弾は上空で破裂し、無数の小型ミサイルとなってロボどもに命中した!
ハイド伍長の小型バズーカはナイト軍曹が持つ大型バズーカとは違い、威力はさほど高くない。
しかし、軽量で持ち運びしやすい上に多彩な攻撃方法を持つ優れものだ。
「よし、俺らも後に続くぜぇ~」
「調教できないロボは叩き潰すぜ!」
「殲滅する!」
「みんな、頑張れー!」
ヨウスケは活力スプレーで俺達全員のパワーを強化。
俺とレイさんとミカエルがそれぞれ"炎の鞭"、"ハリケーン"、"クイックドロー"で敵を一掃しようとする。
その時、ゴーレム型ロボが自身と他のロボの周りに光のバリアを作り出した。
このバリアのせいで俺達の攻撃は軽減されてしまった! ダメージは与えられたが、仕留めることはできなかったぜ。
ドローン型ロボ2体が俺達へ向けて電流を帯びた球体を発射。ねーイタいーもう! イッタいよもう!
続いてクリムゾンロボが、手に持っている銃から火炎放射を放つ!
「ギイイイイン! (汚物は消毒だ〜!)」
まるで世紀末のモヒカンみたいなノリで、クリムゾンロボは俺達を燃やしていく!
「うわあああっ!!」
「アツゥイ!!」
この野郎、廃棄ロボの分際でふざけたことしやがって! もう許さねぇからなぁ?
一方、ハイド伍長だけは敵の攻撃を全て避けていた。さすが軍人さんは戦い慣れしてるぜ。
「しぶとい奴らだな。だがこれでチェックメイトだ!」
ハイド伍長は一旦バズーカを背負い、両手に短剣を構えた。
目にも留まらない素早い動きで敵に近づき、二刀の短剣で流れるようにロボどもを斬りつけていく。
ロボどもはその場に倒れ、生命活動停止。死んだのだ。雑魚にしてはなかなか手強かったゾ……。
「大丈夫か? 今、治療してやるからな」
「おれも治療するよ」
「ありがとナス……」
ハイド伍長とヨウスケが俺達の治療に回る。ハイド伍長は回復技も持っているなんて優しい奴だ。
ここの敵はなかなか手強いが、ハイド伍長がいれば順調に進めるだろう。この調子で俺達はこの階の探索を続ける。
しばらく歩いていると、奥地にスイッチ付きの機械が設置されているのを見つけた。
「もしかしてこれって、押すと先に進めるスイッチじゃねーの?」
「気をつけろ。罠かも知れないぞ」
「いや、大丈夫だ。問題ない」
ハイド伍長が手馴れた手つきでスイッチを押す。
すると、フロア全体に機械音がゆっくり鳴り響いた。この階のどこかに変化が起きたはずだ。
俺達が再び入口付近に戻ってくると、2階への道を塞いでいたレーザーが消えていた! これで先へ進めるぜ。
「ここから先はもっと強い敵が待ち受けているかもな。みんな、気を引き締めていくぞ」
「かしこまり!」
俺達は電波塔の2階へ上っていった。