第26話 生物兵器研究所で起きた衝撃の真実!
文字数 3,096文字
後日、司令室から俺達の元へ次の任務の連絡が来た。俺達は早速司令室へ向かう。
「そろそろ諸君も任務に慣れてきた頃だろう。今回は軍が昔使用していた"生物兵器研究所跡地"へ向かい、当時の資料を回収してくるのだ」
「生物兵器だとォ!? まさか研究所にとんでもないクリーチャーがうろついているんじゃねーだろうな?」
「あぁ、無数の実験体が研究所を支配しているだろう」
さらっと言いやがったなこの野郎。生物兵器って時点で嫌な予感しかしねーぞ。
「怖がる必要は無い。少なくとも
「そうだそうだ! 実験体なんてオレ達が調教してやればいいさ!」
「いや、めちゃくちゃ怖いんだけど……。まるでホラーゲームの世界じゃん……」
「生物兵器研究所跡地か……。興味深いな」
ヨウスケはビビっているが、レイさんとミカエルは前向きな様子だ。俺も頑張らなきゃな。
軍事基地を後にした俺達は、マティアス司令官から渡された地図を頼りに生物兵器研究所跡地へ向かう。
軍事基地からの距離は結構遠く、海の上の橋を渡った先の離島に巨大な研究所はあった。
研究所の外観は老朽化が激しく、壁のあちこちに亀裂が入っている。おそらく数十年は放置されている廃墟だ。
俺達は武器を構え、恐る恐る研究所の中に入った。
亀裂が入り黒ずんだ壁や床、血痕、ガレキの山、ガラスの破片などが散乱している。
不気味な廃墟だけどホラーゲームの世界に入ったみたいでワクワクすっぞ!
研究所の中を探索していると、身体改造されたハヤブサや犬、そして……なんと全身変色したゾンビがいるじゃねーか!
いや、正確にはゾンビではなく人体実験に使われた人間の成れの果ての可能性もある。どちらにしろ恐ろしい姿をしているぜ。
「うわああああああ! ゾンビが出たあああああ!」
「落ち着けヨウスケ。生物兵器研究所なんだから何がいてもおかしくないだろ」
「そうだそうだ! ゾンビなんて叩きつぶしてやろうぜ!」
俺達は戦闘態勢に入るが、ハヤブサと犬どもの素早い先制攻撃が俺達を襲う。
ハヤブサは猛スピードで俺達へ突進を繰り返す。ねーイタいーもう! イッタいよもう!
犬は遠吠えで仲間を呼び、あちこちから犬がぞろぞろと集まってきた!
「ガウッ! ガウッ!」
犬どもが俺達へ向かって走ってくる。ここはみんなで範囲攻撃使うしかねぇな。
ミカエルが二丁拳銃による"クイックドロー"で素早いハヤブサどもを打ち落としていく。
ハヤブサどもは羽根を散らしながら落下していった。
続いて俺は特製高圧洗浄機で熱湯シャワーを犬どもに浴びせる。
「洗い流してやるぜ~」
ジェット噴射された熱湯シャワーは犬どもを直撃。
この研究所に生息している犬どもは体毛が生えておらず、筋肉が剥き出しの身体をしている。熱湯シャワーのダメージは相当なものだろう。
犬どもはキャンキャン悲鳴を上げながら逃げまとう。
「逃がすかー! ハリケーン!」
レイさんは竹刀を強く振るって竜巻を起こし、犬どもを蹴散らしていく。
ハリケーンで上空に吹き飛ばされた犬どもは地面に落下と同時に生命活動を停止。死んだのだ。
このフロアにいるハヤブサと犬どもは一層したが、ヨウスケがゾンビに襲われていた!
「うわあああああ! 来るなあああああ!」
ヨウスケは慌てて火炎瓶をゾンビへ向けて投げつけた。
ゾンビの体は燃え上がり、黒焦げになってその場に倒れる。
「うわー……怖かったー……」
ヨウスケは青ざめた表情で体を震わせている。
無理もない、リアルゾンビを目の当たりにしたら俺達だってビビるぜ。
引き続き俺達は探索を続ける。このフロアにある小さな部屋の中に入ると、机の上に古びた資料が置いてあった。
資料の内容は……。
――この研究所で進められた計画。人間や生物そのものを兵器と化す狂気の実験。薬物投与、人体機械化、遺伝子操作による異型の生物兵器の開発。197X年、さまざまな実験の果てに生み出された最高傑作の人間兵器。筋力・身体能力・回復力・すべてが常人をはるかに上回る。それがハンニバル・クルーガーだ。――
「ハンニバルってどこかで聞いたことがある名前だな」
「マティアス司令官の相棒と同じ名前だな。つまりハンニバル中将は人間兵器ってことだ」
マティアス司令官の相棒、ハンニバル中将が人間兵器だったという衝撃の事実。
その人間兵器と対等に張り合えるマティアス司令官は何者なんだ……?
1つ目の資料を回収したところで引き続き探索を続ける。
階段を下りて地下へ進むと、今度は大柄な人型の化け物がフロアをうろついていた!
その化け物は人の形をしているが、爬虫類のような尻尾と巨大な鉤爪を併せ持っている。その上、全身の筋肉が剥き出していてグロい。
「ギャアアアア!」
化け物は鉤爪で俺達に襲い掛かる!
「危ねぇ!」
俺達は間一髪のところで攻撃を避けた。ゾンビの次は鉤爪人間かよォ!? ここは集中攻撃仕掛けるしかねぇな。
俺が"腕縛りの鞭"で鉤爪人間の腕を縛り、その隙にレイさんとミカエルとヨウスケがそれぞれ竹刀、銃、棒で攻撃を仕掛ける!
「動くと当たらないだろォ!?」
鉤爪人間は「ギャアアアア!」と悲鳴を上げながらその場に倒れた。もうこんなホラーダンジョン早く終わらせたいぜ……。
この調子で徘徊する実験体どもを撃破しつつ、俺達は先へ進む。
しばらく進むと2つ目の小部屋を発見。先ほどと同様、机の上に古びた資料が置いてある。
資料の内容は……。
――199X年、戦場で致命傷を負った兵士を救出し、強化手術を試みた。その兵士は、筋力・身体能力・回復力、すべてが常人をはるかに上回る人間兵器となった。しかも彼は改造手術を受けた者特有の精神疾患の兆候はほぼ見られない。マティアス・マッカーサー、彼こそが最高傑作の人間兵器だ。――
「マティアス司令官って人間兵器だったのかよ!?」
「なるほど、どうりで化け物じみた強さを持ってるわけだ」
「人間兵器のハンニバル中将と互角の強さを持っているんだから納得だね」
ハンニバル中将が人間兵器と判明した時点でまさかとは思ったが、マティアス司令官も人間兵器だったとはな。
2つ目の資料を回収した俺達は探索を続け、更に階段を下りて地下へ進む。
このフロアにも人型の化け物やゾンビがうろついているが、戦い慣れた俺達は難なく撃破し先へ進んだ。
しばらく進むと3つ目の小部屋を発見。壊れかけた本棚を調べると古びた資料が入っていた。
資料の内容は……。
――某日、ハンニバルとマティアスのどちらが強いか確かめる為に2人を戦わせた。結果はマティアスの勝利だった。博士はハンニバルがもっと強くなれるのではないかと言い始め、ハンニバルの更なる強化手術を始めたのだ。無茶な強化手術は精神に弊害が及ぶ。このままではハンニバルが理性を失ってしまうかもしれない……!――
――ハンニバルが暴走してしまった! もう彼を止められるのはマティアスしかいない……!――
「まさか、この研究所を滅ぼしたのはハンニバル中将ってことか……!?」
「そうみたいだな。今の軍の状況的にマティアス司令官がハンニバル中将の暴走を止めたと考えていいだろう」
「過去のアメリカにそんなことが起きていたなんて知らなかったぜ」
「あぁ……こんな怖いところ早く抜け出したいよ……」
今回の任務で知った衝撃の真実。マティアス司令官は俺達にそれを教える為にこの任務を出したのだろう。
俺達の生物兵器研究所跡地探索はまだまだ続く。