第15話 神父の逆鱗に触れる!

文字数 3,257文字


 俺達はライナスとの戦いで消耗した体力を回復した後、教会の神父にイキ草を届けに行った。

「ほらよ、イキ草を持ってきたぜ」
「おぉ、まさか本当に持ってくるとはね。今から()()()()薬を作るから少し待っていなさい」

 神父はイキ草をミキサーに詰め、それを粉薬に変えた。
 神の力って言うから不思議な力を使って作るのかと思ったのに、作り方があまりにも単純すぎるだろオイ!
 
「媚薬”イヌコロリ”の完成だ。イヌコロリを飲むと従順な犬みたいになるぞ。SMバーの従業員を従順にさせるのに役立つだろう。ただし、この薬は若者にしか効果が無いから気をつけなさい」

 マヒル、ポイテーゼ、トーム、ヒデオはみんな若いから問題ないぜ。

「神父さん、ありがとな! この薬は有効に使わせてもらうぜ」
「しかし、材料さえあれば案外楽に作れるんだな」
「早く作れたのは神の御加護があったからだよ。だから毎日のお祈りは欠かせないのだ」
「神なんて存在しねぇんだよ! お祈りとか関係ねーよww」

 俺がうっかり神の存在を否定する発言をしてしまった瞬間、神父の表情が険しくなる。
 
「お前、今何て言った?」
「アッ!」
「お前は今、神を侮辱したな!」
「あの……今のは冗談です!」
「待ってくれ! 神父さん!」
「神父様、落ち着いてください!」
「おい、まずいことになったぞ。どうするつもりだ?」

 やべぇよ……やべぇよ……。これって完全に俺のせいだよな?
 
「貴様らまとめて消し炭にしてやるわ!」

 豹変した神父は杖を構え、戦闘態勢に入った!
 さっきライナスと激戦を繰り広げたばかりなのに神父と連戦ってキツすぎるぜ!
 神父は杖を俺達へ向けると、巨大な氷柱を複数発生させ、それを俺達へ向けて発射した!
 この神父、本物の魔法使いじゃねーかオイ!

「ここは私達に任せろ」
「オレはライナスとの戦いで雪や氷に対抗する術を身に着けたんだ。氷柱ごとき溶かしてやらぁ!」

 ミカエルは二丁拳銃で氷柱を打ち落とし、レイさんは炎の刀を振るって氷柱を溶かしていった。
 氷柱攻撃は全て防ぐことができたぜ。
 
「このまま神父を叩き斬ってやらぁ!」

 レイさんは走りながら神父目掛けて炎の刀を振り落とす!

「甘いわ!」

 神父は瞬時に杖先を氷でまとい、氷の剣を作り上げると同時にレイさんよりも素早く斬りつける!

「ぐあっ!」
「レイさん、大丈夫か!?」
「あぁ、寒さで腕に力が入らなくなっちまったが、まだまだいけるぜ」

 レイさんはダメージと共に体が冷えてしまったようだ。
 この神父は遠距離攻撃、近接攻撃も強くて手ごわい相手だぜ。
 ここは俺とレイさんが神父を近接戦に持ち込み、ミカエルとヨウスケに遠方支援してもらうのが的確か?

「レイさん、一緒に神父を殴りに行こうぜ」
「おう!」

 俺は(ムチ)を、レイさんは竹刀を構えて神父を攻撃する。
 神父は俺達2人を相手に氷の剣を振るっている。
 この神父、2人相手に片手剣でやり合うとはなんて強さだ!

「ヨウスケ、今のうちに私達も攻撃するぞ」
「うん、おれは火炎瓶切らしちゃったからサポート特化でいくよ!」

 ヨウスケはスプレー缶を取り出し、俺達へ向けてスプレーを噴射する。
 スプレーを浴びた俺達は力がみなぎってきたぜ。
 そう、これはヨウスケの攻撃力アップスキルだったのだ!
 パワーダウンしていたレイさんも力を取り戻す。

「オラァ! さっきのお返しだぁ!」
「もう許さねぇからなぁ?」
「ぬぅ……なかなかやるな」
 
 パワーアップした俺達に押される神父。
 その隙にミカエルが必殺技"ラピッドファイア"を神父へ向けて放つ!

「ぬぅ……小賢しい真似を」
 
 よし、これで神父に毒と暗闇状態を付着することができたぞ!

「だが、私の視界を奪ったところで貴様らに逃げ場は無い!」

 神父は氷の剣を元の杖の状態に戻し、杖先から上空に電流を放射。
 上空に飛んだ電流は、無数の雷となって俺達の頭上に落雷した!

「「「「アッー!」」」」

 痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)
 広範囲攻撃を扱う魔法使い相手に盲目は無意味ってか!?
 しかも大ダメージ負った上に体がしびれて思うように動けない。
 状態異常付きの全体攻撃とかセコすぎるぜ!

「すぐには殺さん。戦いはまだまだこれからだ!」

 体が麻痺して動けない俺達へ神父は更に追撃をかけようとする。
 神父は最初に放ってきた氷魔法で、氷柱を俺達へ向けて発射。
 ねーイタいーもう! イッタいよもう! 痛い上に氷が当たって寒い!
 このままじゃ何もできずに負けてしまう!

「みんな……これで一気に攻めよう!」

 そうだ、ヨウスケは仲間を回復させるスキルを持っている!
 ヨウスケの必殺技"超回復術"によって俺達全員が回復して体勢を立て直した。
 だが必殺技は連発できないから、この回復を無駄にしてはいけない。
 ミカエルとヨウスケは既に必殺技を使ってしまった。
 俺の"髪なんか必要ねぇんだよ"とレイさんの"おじさんブロー"の使いどころが重要だ。
 レイさんの必殺技で神父をスタンさせて怯ませ、その隙に俺の必殺技で神父をハゲさせ、その後にみんなでボコるのがベストか?
 
 「本気で怒らしちゃったねー、オレのことねー? おじさんのこと本気で怒らせちゃったねぇ!」

 レイさんが走りながら神父に近づき、必殺技"おじさんブロー"を叩き込もうとする!

「何度やっても無駄だ」

 神父は杖先から広範囲の電流を流してきた!
 痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)
 こんなの避けられるわけねーだろうが!
 
「じゃあオラオラ来いよオラァ!!」
「うおっ!?」

 なんと、レイさんだけは神父の電流攻撃に怯むことなく"おじさんブロー"を神父に命中させた!
 たまたま麻痺にならなかったのだろうが、レイさんの不屈の精神力は凄いぜ!
 これで神父を少しの間足止めできたが、俺とミカエルは神父の電流で麻痺してしまった。

「休んでる場合じゃないよ。ほら動いて!」

 ヨウスケが"癒しの踊り-状態異常回復"で俺達の麻痺を回復してくれたぜ。よくやったヨウスケ。

「よーし、次は俺の番だぜぇ。神に髪なんか必要ねぇんだよ!」

 俺の必殺技"髪なんか必要ねぇんだよ!"で神父をハゲさせ、ステータスを大幅ダウンさせたぜ。

「おぉ……何てことだ。神から髪を奪うとは……」

 神父はあまりのショックでひざまづく。
 神父が脱力している隙にミカエルが両手の武器を二丁拳銃から双剣に切り替え、神父に接近する!

「とどめだ!」

 ~スウィフトエッジ~
 双剣で素早く斬りつけるミカエルの物理攻撃スキル。命中率は低いが全ヒットすれば強い。


 ミカエルの攻撃は状態異常の敵に対してダメージが増加する。
 つまり俺がハゲさせた脱力効果も合わさって大ダメージを狙えるということだ。
 ミカエルの連続斬りは全てヒットし、ついに神父は怒りの表情から優しい表情に戻った。

「……すまん。ちょっと暴れすぎたかな。危うく教会ごとぶっ壊してしまうところだった」

 むしろあんなに暴れまくって、よく教会が無事だったな。
 
「た、助かった……」
「やっと落ち着いてくれたか……」
「私も久々に命の危機を感じたぞ……」
「ごめんなさい! もう二度とあんな事言いません! 許して下さい! 何でもしますから!」
「ん? 今何でもするって……というのは冗談さ。君達との戦いが楽しかったから許してあげよう」

 この神父はあの激戦を終えてもなおピンピンしてやがるぜ。
 この神父が雪山に同行していればライナスも簡単に倒せたんじゃね?

「君達の今後の活動に期待しているよ。ビデオが完成したら是非、私も購入しよう」
「ありがとナス!」

 この神父、やっぱりホモビデオ好きなんですねぇ~。
 
「よし、脱走者を全員捕まえたから、いよいよビデオ撮影だな!」

 俺達はヒデオを連れ、再び船に乗ってホモの町のBAR Tatsuyaへ帰還するのであった。
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登場人物紹介

【タツヤ】

SMバー「BAR Tatsuya」の店長にして調教師。

店から脱走した従業員の捕獲、およびホモビデオ制作の旅に出発するぜ!

【レイ】

「BAR Tatsuya」の常連客で、タツヤとはマブダチ。

男の子を虐待するのが大好きなおじさんだぜ。

【ミカエル】

素早い行動と状態異常が得意な美青年暗殺者。

殺し屋よりホモビデオ制作の方が儲かるから制作スタッフに転身したようだ。

【ヨウスケ】

魔王に囚われていたニート。

ヘタレなニートだけど便利な道具を多数持ち歩いている頼もしい男だぜ。

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