第18話 交通量マックス 地獄のデスロード!
文字数 2,407文字
車の交通量が非常に多い上に信号機が稼働していない地獄のデスロード。
物流拠点が近くにあるのか、道路は大型トラックでいっぱいだ。追突されたらひとたまりもない。
だが、ここまで来て諦めるわけにはいかない!
「いや、行ける!
「あんた正気か!?」
「せっかくここまで来たってのに、たかだか車の一台や二台止まってくれないくらいで夢のホモビ作りを諦め切れるかよ!」
「タツヤさんの言うとおりだ! ここさえ乗り越えれば、最高のホモビを作るための人材が手に入るんだぞ!」
(カッコつけて言ってるけど、ホモビホモビって連発してる時点で汚すぎるし、車も一台や二台どころじゃないんですがそれは……)
「無茶苦茶だな……仕方ない」
この道路、とにかく車間距離が短すぎる! ホモはせっかち。つまり運転手はホモってはっきりわかんだね。
途切れることなく走る車と車の間を、俺達はタイミング良く横切っていく。
順調に進んでいき、ついに軍事基地が見えてきたぜ。このまま一気に突っ走る!
ところが軍事基地まであと一歩のところで俺達は横から来た車に追突され吹っ飛ばされてしまう!
「おいコラァ! 気をつけろォ!」
無慈悲な言葉を投げつけながら去っていく車の運転手。
いくらアメリカが車社会だからって、人をはねておいてそれはひどすぎるダルルオ!? 少しは歩行者に道を譲れよなぁ!?
俺達は車に吹っ飛ばされたが、幸い当たりどころが良く軽傷で済んだ。
吹っ飛ばされたおかげで一気に軍事基地前までたどり着いたぜ。
戦車、戦闘機、軍用ヘリが多数、奥には巨大な要塞とも言える建物がある。これがアメリカ軍基地か。
「ここがアメリカ軍基地か。凄ぇところじゃねーか」
「しかし、エーリッヒ大佐やナイト軍曹は見当たらないな」
「なら部外者の私達はこれ以上、足を踏み入れない方が良いだろう」
「そうだね。やっぱり今日は引き返したほうが良いかも」
くそぉ……やっぱり軍人ビデオモデルなんて無理だったか……。
「そこのお前達、何をしている!?」
どこからか男の声が聞こえてきた。
現れたのは、黒いベレー帽と黒いノースリーブのタクティカルスーツを身に着けた、見るからに強くて偉そうなおっさんだ。
長い金髪、赤い眼、筋肉質で強靭な肉体、身長2メートル近くある大柄なナイスガイだぜ。
「私はこの軍事基地の司令官、マティアス・マッカーサーだ。マティアス司令官と呼ぶが良い」
マティアス司令官、軍のお偉いさんだけあって今まで出会った奴らの中でも一番強そうなオーラを感じる。
いかにも自信満々で怖いものは無しって面をしているぜ。
「お前達、我が軍事基地に何の用だ?」
「おぉ~! お前良いガタイしてんじゃ~ん!」
「タツヤさん、失礼なことはよしなよ!」
心配するヨウスケだが、マティアス司令官は俺の無礼な態度を気にすることもなく、むしろ微笑んでいるようにも見える。さすが軍の司令官、器が広いぜ。
「軍人さん、俺の名はタツヤだ。SMバー"BAR Tatsuya"の店長をやっているぜ。ホモビデオ撮影の為、屈強な兵士達にビデオモデルになってもらいたくて軍事基地へやってきたんだ」
「そうなんだよ。だから軍人さん、ギャラはたっぷり支払うからビデオモデルになってくれない?」
「私はそんな安い男では無い!」
あっさり断りやがったなこの野郎。
「そりゃそうだ。軍のお偉いさんがホモビ撮影に協力なんかしてくれるわけが無いだろ」
「そっかぁ……。じゃあせめてエーリッヒ大佐かナイト軍曹に会わせてくれ」
「駄目だ。大事な部下達を汚い商売に利用させるわけにはいかん!」
こいつ、今"汚い商売"と言いやがったな!? もう許さねぇからなぁ!?
「汚い商売だとぉ!? 俺らのビジネスを侮辱しやがって!」
「まって! タツヤさん落ち着いて!」
「ソフトクリーム島でボロボロになっていたエーリッヒ大佐を助けたのは俺らなんだよ! ちょっとは感謝しろよな!?」
「そうだそうだ! オレ達がライナスって奴を退けていなかったらエーリッヒ大佐は殺されてたんだぞ!」
「おい、落ち着けって!」
その時、さっきまで厳しい表情で俺達の誘いを断ってきたマティアス司令官は、突然興味津々な表情に変わった。
「ほう、エーリッヒ大佐を助けてくれたのはお前達だったのか。……気が変わった。お前達はなかなか素質があるようだな」
「だろぉ~!? 分かったらとっととしゃぶれよ」
「ならばお前達の全力を私にぶつけてみろ。力を試してやろう!」
マティアス司令官は武器を構えることなく、自信に満ちた余裕の表情で立っている。
「よーし、俺らの実力を見せてやろうぜ!」
「おぉ!」
俺達は一斉に各自の必殺技"髪なんか必要ねぇんだよ!"、"おじさんブロー"、"ラピッドファイア"をマティアス司令官に放つ!
ヨウスケだけは必殺技が回復スキルなので、代わりに俺達の攻撃力を上げるスプレーでサポートした。
しかし、マティアス司令官には状態異常どころかダメージすら全く通っていない!
どんな鍛え方しているんだ、このおっさんは!?
「一般人にしてはなかなかやるな。鍛え直せば我が軍の戦力として期待できるだろう」
マティアス司令官は目にも留まらぬ素早い動きで俺達全員にパンチやキックを繰り出してきた!
「「「「アッーー!!」」」」
痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)
俺達全員はたった一撃であっけなく全滅しまった……。
「クックック……おとなしくついてきてもらうぞ」
マティアス司令官は気絶した俺達4人をたった一人で担ぎながら軍事基地へ戻っていった。
軍の兵士達をビデオモデルとしてスカウトするつもりが、逆に俺達が強制軍隊入りさせられるパターンってどういうことだよ!?