第21話 脅威のイカレパンプキン!
文字数 2,216文字
アーディの家で少し休憩した後、森の最深部を目指して進む俺達。
森の最深部手前まで進んだところで、一人のガタイの良いワイルドな青年と遭遇した。
この男は短髪でハンマーを手に握っている。こいつは冒険者か?
「この男性は!?」
「……ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁーっ!」
男は突然、奇声を上げながら俺達へ向けてハンマーを振り落としてきた!
「うわぁ!?」
「なんだこいつは!?」
俺達は間一髪のところで攻撃を避ける。ハンマーを振り落とされた場所には亀裂が入った。
「大変です! この男性は既にイカレパンプキンに侵されてしまったようです!」
「この人、何で見ず知らずのカボチャを食べたんだよ? 危機意識ってものは無いの!?」
このハンマー男はきっと森の中で遭難し、空腹に耐えかねてカボチャに手を出したのかも知れない。
だが不運にもそのカボチャは毒性のある食べ物だった。
「とにかく戦うぞ! 邪魔するものは排除するのみだ!」
お、そうだな。邪魔する奴はさっさと調教するに限るぜ。
ハンマー男は雄叫びを上げながらハンマーを両手で持ち上げ、力を溜め始める。
これは大技が飛んできそうな予感がするぜ。奴が攻撃を繰り出す前に足止めしたいところだ。
「オレの新技いくどー!」
~小手討ち~
素早く敵の腕を討ち、少しの間攻撃力を下げる、レイの物理攻撃スキル。
レイさんが先陣してハンマー男の腕を竹刀で叩きつける!
ハンマー男は一瞬怯むも、ハンマーを握ったままだ。
その直後、ミカエルが毒塗り刃"盲目の投刃"をハンマー男へ投げつける。
「うわぁ…… (棒読み)」
あまりダメージは無いが、ハンマー男の目をくらませることができたようだ。
次にヨウスケが俺達全員にスプレーを噴射する。
「守りを固めよう!」
これは味方全体の防御力を上げるスキルのようだ。大ダメージに備えておかないとな。
次に俺が"腕縛りの鞭"でハンマー男の腕を狙い撃つ。
「痛い (棒読み)」
あまりダメージは無いが、更に攻撃力を下げてやったぜ。
力を溜めていたハンマー男は両手でハンマーを振り下ろし、地面に叩きつける!
「うおおおお (棒読み)」
ドゴォンッ!! という音と共に地響きが起き、地面に走った衝撃波が俺達に襲いかかった!
「うわあああっ!!」
「痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)」
衝撃により吹き飛ばされる俺達。みんなでダメージ軽減したのにかなり痛いゾ!
「みんな、大丈夫か!?」
「うん、なんとか……」
「ちくしょう……痛ぇ……」
いきなり大技をぶっぱしやがって! もう許せるぞオイ!
「回復します! 立ち上がって下さい!」
アーディが後方から回復スプレーをまいてくれた! 助かるぜ!
ハンマー男の目がくらんでいるうちに攻撃を仕掛けるぞ。
ミカエルは双剣による"スウィフトエッジ"でハンマー男を攻撃。
「痛ぇよ (棒読み)」
ハンマー男がハンマーを振り回し、ミカエルを吹っ飛ばした。
「ぐっ! 後は頼んだぞ」
「みんな、後に続こう!」
ヨウスケは仲間の攻撃力を上げるスプレーで俺達を強化。
レイさんは先ほどとは別の新技を披露する!
~兜割り~
命中率は低いが当たれば高威力。レイの物理攻撃スキル。
「動くと当たらないだろォ!?」
レイさんはハンマー男の頭目掛けて竹刀を強く振り落とす!
「うわぁ…… (棒読み)」
さすがのハンマー男も、レイさんの高威力スキルを食らって思わず体勢を崩す。
よし、トドメは俺の新技で決めるぜ。
~エクスタシー~
敵に弱体が掛かっているほど威力が上がる、タツヤの物理攻撃スキル。
俺は
このまま一気に調教してやるぜ。
「う、うわああああああああ (棒読み)」
ダメージが蓄積したハンマー男はついにひざまづき……。
「よぉ~し、調教完了!」
「ワン、ワン…… (棒読み)」
こうしてハンマー男は俺達の立派な犬奴隷になったぜ。
カボチャの毒で狂った男を調教して上書きする、俺達はまた1つ人助けができたぜ。
「カボチャの洗脳が解けて何よりだな」
「これは……?」
ハンマー男の無様な姿を見て困惑するアーディ。
俺達はアーディに傷の手当をしてもらった後、今度こそ森の最深部へ進む。
森の最深部にいたのは、なんと巨大な4足歩行の緑色のドラゴンだ。
なんでこの世界にドラゴンがいるんだよオイ!?
「ドラちゃん、大丈夫か!? 心配していたんだぞ!」
「……」
アーディは感動の再会とばかりにドラゴンに近づく。
このドラゴンこそがアーディのペット、ドラちゃんだったのだ。
「グオオオオオ!!」
しかし、ドラちゃんは飼い主の掛け声を無視して大きな咆哮を上げた!
「ドラちゃん!? そんな……」
「おい、これってまさか……」
「既に手遅れだったようです……。こうなったら力づくで落ち着かせるしかありません!」
こんなデカいドラゴンがカボチャを食って凶暴化しちまったゾ!
だが、俺達はそんなことどうでも良かった。こいつは良い商売道具になるからだ。
「おぉ~、ドラゴンを調教できたら最高じゃね?」
「ドラちゃん、てめぇにはホモビモデルになってもらうぜ!」
「いや、ドラゴンを調教とかさすがに無理でしょ!」
「とにかくやるしかないようだな。こっちも全力で行くぞ。この際ドラちゃんの生死は関係無い!」
ミカエルはドラちゃんを殺る気マンマンだ。
俺達は豹変したドラちゃんを助け出す為に立ち向かう!