第6話 魔王を調教する!
文字数 3,192文字
![](https://img-novel.daysneo.com/talk_02/thumb_2344b9dd6e8c55b344434dd797b0cfff.png)
序盤のボスが魔王ってどういうことだよオイ!?
俺達は一斉に魔王へ攻撃を仕掛ける。
~猛毒の投刃~
毒を塗った刃を投げつけ、ダメージを与えつつ一定確率で毒状態にする、ミカエルの物理攻撃兼バステスキル。
素早さの高いミカエルが先手で攻撃を仕掛ける。
刃は魔王に命中したが、魔王は毒状態にならなかった。
「やはりボスに状態異常は効きにくいみたいだな」
ミカエルは舌打ちしながら言う。
続いて俺が魔王に追撃を仕掛けた。
~腕縛りの鞭~
俺の攻撃は見事魔王に命中した。
ダメージは少ないが、これで少しは弱体化させることが出来たはずだぜ。
その後、レイさんがスタンガンを装着した竹刀で魔王を斬りつける。
「魔王は黙って勇者に倒されろよオイオラァ!」
激しい電流を帯びたレイさんの竹刀は魔王に直撃した。
しかし、魔王は俺達の攻撃を続けて食らっても余裕の表情だ。
「……なるほど、貴様らなかなかやるじゃないか。今度は俺様のターンだ!」
魔王はマントの中から何かを取り出す。
出てきたのは、なんと大型のアサルトライフルだ!
魔王が近代兵器で武装するなんてアリかよォ!?
「この突撃銃で木っ端微塵にしてやるぜ~!」
魔王はヒャッハーな気分で銃を乱射してきた。
攻撃範囲はかなり広く、仲間全員がダメージを受ける。
ねーイタいーもう! イッタいよもう! 攻撃力下げてもこの高威力かよ!?
そんな中、ヨウスケが痛みに耐えながらリュックからスプレー缶を取り出す。
~癒しの踊り-HP回復~
踊りながらスプレーを撒き、傷を癒すミストで味方全体を回復する、ヨウスケのHP回復スキル。
「そんなハイテクなスプレー、どこで手に入れたんだよ!?」
「おれのニート仲間の一人が作ってくれたんだ」
「いやいや、そいつもはやニートじゃねーだろ!」
とにかく、おかげで俺達全員体力を回復出来たぜ。
気を取り直して再び魔王に総攻撃を仕掛けようとしたその時、魔王が再びマントの中から何かを取り出した。
「なかなか良いスプレーを持っているんだな。実は俺様も、とっておきのスプレーを持っているぜ。今度はこいつを食らうが良い!」
魔王は取り出したスプレー缶で俺達にスプレーを放ってきた。毒ガスか? それとも催涙スプレーか?
俺は自分の服で鼻と口を塞ぎながら様子を伺う。苦しくは無い。目も痛くは無い。
だが、頭部に妙な違和感を感じる。頭が寒い。
辺りを見回すと、なんとレイさんとヨウスケの頭がハゲていた!
ということは俺も……?
「タツヤさん、その頭どうしちゃったんだよ!?」
「レイさんこそツルッパゲになってるぞオイ!」
「おれもハゲちゃってる!? そんなの嫌だあああ!!」
頭をツルッパゲにされた俺達は深い悲しみに包まれた。
「クックックッ……頭がハゲてしまっては戦いどころではあるまい!」
魔王は無残な姿になった俺達を嘲笑っている。
魔王のくせに卑劣な手を使いやがって! もう許せるぞオイ!
しかし、頭がハゲてしまった俺達はやる気ガタ落ちで力が出ない。
そんな中、フードを被っているミカエルだけは頭が無事だった。
ミカエルは両手に銃を構えて魔王に狙いを定める。
~ラピッドファイア~
毒を盛った銃弾を連射し、敵に大ダメージを与えつつ高確率で毒・暗闇状態にする。ミカエルの必殺技。
ミカエルは無数の弾丸を魔王に向けて連射した。
さすがに魔王だけあって蜂の巣にはならなかったが、結構ダメージは通ったようだ。
しかも魔王に毒と暗闇の状態異常も掛かってるじゃねーか。さすが
「ぐぬぬ……これじゃ前が見えないじゃないか!」
視界を奪われて焦る魔王。
「魔王の視界は奪ったぞ。お前達も脱力してないで後に続け」
せっかくミカエルが作ってくれたチャンスだが、俺達はハゲにされたショックで脱力している。
その時、ヨウスケがもう1つリュックからスプレー缶を取り出した。
~癒しの踊り-状態異常回復~
踊りながらスプレーを撒き、異常を治すミストで味方全体の状態異常を解除する、ヨウスケの回復スキル。
「みんな、これでおれ達の頭が戻るはずだ!」
「おお! 髪がフサフサに戻ったぜ! 脱毛剤をばら撒く悪い魔王はおしおきだど〜」
「よーし、俺達をコケにしたからには何されるか分かってんだろうなぁ~?」
ヨウスケが使ったそのスプレーって育毛剤か?
というか状態異常を治すスキル持ってるならもっと早く使えよ!
ハゲから元通りに回復した俺達は一斉に攻撃を仕掛ける。
~髪なんか必要ねぇんだよ!~
散髪刀で敵の頭を丸坊主にして脱力させる弱体スキル。タツヤの必殺技。
「髪なんか必要ねぇんだよ!」
俺は散髪刀を華麗に操り、魔王の頭を丸刈りにした。
さっきの借りは返してやったぜ。
「くっ! どういうことだ!? 頭が寒い!」
魔王は自分が何されたか分かっていないみたいだが、体から力が抜けているのが分かる。
続いてレイさんが俺の後に続いて追撃する。
~おじさんブロー~
ひたすらタコ殴りにした後、敵をスタンさせる、レイの必殺技。
「じゃあオラオラ来いよオラァ!!」
レイさんにボコボコにされた魔王はめまいを起こし、その場で立ちすくむ。
魔王は毒・暗闇・ハゲ・スタンと多くの状態異常に掛かっていて無防備の状態だ。
その時、ミカエルがここぞとばかりにナイフで魔王を追撃していた。
「ぐああああ! 急に攻撃力が上がっただと!?」
魔王は最初のタフさが嘘のように痛がっている。
まさかミカエルは素早さだけでなく、とんでもない怪力の持ち主だったのか!?
~暗殺者の心得~
状態異常の敵に攻撃する際、与ダメージ増加する、ミカエルのパッシブスキル。
条件を満たせば火力が上がるスキルの持ち主だったのかよ! アサシンらしいスキルだな。
ミカエルの怒涛の斬撃により、魔王の体力はゴリゴリ削られていく。
続いてヨウスケもミカエルの後に続いて追撃しようとする。
「よし! おれの棒術を食らえ!
どっかで聞いたことある技名だな。
ヨウスケは目の前で棒を高速回転させる大道芸技を披露した……かと思いきや、手が滑って棒を落としてしまった。
「あ、ごめん! 失敗したわー」
「戦い慣れてないなら無理すんなよ。サポートに徹しろ」
俺達は呆れながらヨウスケを見つめる。
そしてついに魔王に掛かっている状態異常の効果が切れたのか、魔王は体制を立て直した。
「この俺様をコケにしやがって! 貴様ら生きて帰れると思うなよ!」
魔王は再びアサルトライフルを構え、銃を乱射し始めた。
さっきよりも連射力が増しており、俺達の体力はゴリゴリ削られていく。
痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)
だが、あれだけの攻撃を受けた魔王の体力は残り僅かのはずだ。
攻撃を避けられないなら、やられる前にやるしかない!
「お前ら、やられる前に魔王をぶっ倒すぞ! ヨウスケは回復に専念しろ!」
「心得たぜー!」
「了解だ」
「分かった。早く倒してね!」
ヨウスケは回復ミストを撒きつつ、残りの3人は攻撃に専念した。
俺は
激戦の末、銃を乱射していた魔王はついに攻撃の手を止め、地面に跪いた。
「ハッハッハ……この程度の攻撃で……」
「もうこれ以上の抵抗はやめな。そろそろ調教タイム始めるぜ~」
「フフフ……。貴様らは……何もわかっていない……。俺様が生き残るために隠された最後の切り札を……貴様らは知らない……」
まだ切り札を持ってるのかよ!
なんだかんだ言ってさすがは魔王だな!
「見せてやるよ! 俺様の最終奥義をな!」
ちょっと待て! とんでもない最上級魔法とか使うのは勘弁してくれよ!
俺達は魔王を調教出来るのか!?