第20話 フルーツを採取する!
文字数 2,515文字
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翌朝、俺達は司令室へ向かい、マティアス司令官から説明を受けた。
「新入りの諸君には、まずは簡単な任務を遂行してもらおう。"ビーチ"と"フルーツの森"の奥地からフルーツを多めに採取してきて欲しい」
「フルーツを採ってくるだけか? 楽勝じゃーん!」
最初の任務とはいえ、フルーツを採ってくるだけのおつかいって俺達をナメすぎじゃないか?
「自信満々だな。フルーツの森には多数の危険生物達が生息しているんだぞ?」
「俺らは今までに人間以外の生物も相手してきたんだ。危険生物くらいどうってこと無いぜ」
「良い心意気だ。それでこそ我が軍の一員だ」
笑顔で返事をするマティアス司令官。
危険生物くらいどうってこと無いとは言ったものの、本当は少しだけビビっている俺。
「ところで司令官、フルーツなんか採りに行って何の意味があるんだ?」
「フルーツは私の大好物だからだ。沢山のフルーツを持ってきてくれれば、それなりのお礼はしよう」
マティアス司令官、屈強な男だけどフルーツが大好きってギャップがたまらないな。
「タツヤさん、これはマティアス司令官の好感度を上げる大チャンスだ!」
「よーし、いっぱいフルーツを採ってきてビデオ撮影手伝ってもらうぜ!」
「楽しみにしているぞ、諸君。そして1つ忠告しておこう。フルーツの森の奥地に生えているカボチャのような植物には触れるな。その植物には毒が含まれており、触れたり口にしたりすると気が狂ってしまうぞ」
「なるほど、カボチャには触れてはいけない……」
「では検討を祈る。諸君ならできると信じているぞ」
任務を受けた俺達は司令室を後にした。
俺達の任務は"ビーチ"と"フルーツの森"からフルーツを採取すること。
ビーチには危険生物はいないみたいだから、こっちから先に攻略するぜ。
このビーチは軍事基地の近くにあるリゾート地だ。
エメラルドグリーンの海、広い砂浜、所々生えているヤシの木。
基地周辺に住みながらハワイ気分を味わえるなんて最高じゃないか。
俺達がビーチにたどり着いて真っ先に目に留まったものは――。
「おめぇら、今わしのことチラチラ見てただろ」
「何で見る必要あるんスか! いくらホモの俺でも剛毛男はアウト!」
因縁をつけてきたのは、適度に脂肪と筋肉の乗った肉体を持つ胸毛ボーボーのおっさんだ。
「見よ、わし (53)の立派な胸毛を! ああ~若いモンに見られるのはたまらねえぜ。おめぇらもはよう〇〇まみれになろうぜ!」
「「「「ヴォエ!!」」」」
幸い〇〇まみれは逃れたが、朝っぱらからヤバいものを見せつけられたぜ……。
今日はこの砂浜でリゾート気分を満喫している場合では無いな。早いとこフルーツを収穫しないと。
ビーチには沢山のヤシの木がある。だが上半身に対して下半身が貧弱な俺は木登りが苦手だ。さぁ、どうする?
「ミカエルさん、身軽な君なら木を登って採れるよね?」
「私の出番か。任せておけ」
ミカエルは身軽な動作で木を登り、ヤシの身をいくつか収穫した。
「ほら、取ってきたぞ」
「でかしたぞ、ミカエル!」
俺達はビーチを後にし、その後フルーツの森の中へ入っていく。
フルーツの森は明るいビーチから一変、緑で覆われた巨大なジャングルだ。
森の中は巨大なハチやワーム、毒ヘビが大量に生息しているじゃないか!
巨大ハチの毒針、巨大ワームの毒液発射、毒ヘビの牙が俺達を襲う!
ちくしょう……毒は苦しいぜ。
ここは俺とレイさんの合体技"炎の鞭"で一掃だ!
「もう許さねぇからなぁ!?」
「ぽっかぽかだ!」
俺は炎をまとう
"炎の鞭"は広範囲高威力だが、MPの消費が激しいからあまり連発しない方がいいな。
俺達は戦闘でダメージを受ける度ヨウスケに回復してもらいながら先へ進んでいく。
森の中は広すぎて、奥地まで行った後に無事帰還できるのか心配だ。
順調に進んでいくと、俺達は一軒のツリーハウスを見つけた。モンスターだらけのこの森に人が住んでいるのか?
すると、ツリーハウスの中から一人の男が姿を現した。
「どうしてこんな所に人間が……?」
長い緑色の髪を持つ、いかにも森の住人といった感じのイケメン青年だ。
「俺らはこの森の奥にあるフルーツを採りに来たんだぜ」
俺達が返事をすると、緑髪の男はツリーハウスから飛び降りた。
「まずは自己紹介を。僕はこの森に住むアーディと申します。森の奥へ進むなら僕のお願いを聞いて頂けませんか?」
「おう、願いってなんだよ?」
「僕のペットの"ドラちゃん"が脱走して森の奥へ逃げて行ってしまったんです。森の最奥地には食べた者を凶暴化させる"イカレパンプキン"という植物が生えています。ドラちゃんがイカレパンプキンを食べてしまったら大変なことになってしまう! だからドラちゃんが凶暴化する前に、僕と一緒にドラちゃんを連れ戻して欲しいのです!」
どうすっかな~俺もな~。
「ドラちゃんを救出するまでは、あなた達を後方からサポートします。なのでお願いします!」
お、サポートしてくれるなら心強いぜ。
「わかった。一緒に行こう。少しでも私達が楽になれるなら頼もしい限りだ」
「アーディさん、少しの間お世話になるよ」
「別に構わないぜ。そのかわり、ドラちゃんを助けたら調教されてもらうぜぇ~?」
「そうそう、それが良いぜ~」
「……?」
森の青年アーディが一時的に仲間に加わったぜ。戦闘中に回復してくれるらしい。
「あなた達、ここまでの旅で疲れているでしょう? 僕の家で休憩していって下さい」
「おお、それは助かるぜ」
俺達は少しの間、アーディの家の中で休憩させてもらった。
森のツリーハウスの中でのひとときはなかなか気持ち良いぜ。
ドラちゃんの救出を考慮して長くは休めなかったが、これで十分回復できた。
森の最深部まであと少しだ。フルーツを採取する為、ドラちゃんを連れ戻す為、俺達は急いで最深部へ向かった。