第30話 ホームパーティをする!

文字数 3,078文字


 翌朝、俺達の元にナイト軍曹からのメッセージが届いた。
 今晩、ナイト軍曹の部屋でハイド伍長、エーリッヒ大佐と共にホームパーティを開くから、俺達にも参加して欲しいそうだ。
 軍人さん達との貴重な交流チャンスだ。これは参加するしかないぜ。
 パーティの時刻が近づくと、俺達はナイト軍曹の部屋へお邪魔した。
 エーリッヒ大佐とハイド伍長は既に着席しており、テーブルには豪華な食事が並んでいる。
 食事は"オーバーイーツ"という出前&配達サービスで取り寄せたようだ。
 オーバーイーツは便利なサービスだが、アメリカでは配達員に商品をつまみ食いされる確率が高いらしい。
 幸い、注文した食品は配達員につまみ食いされていなくてよかったぜ。

「今夜は賑やかなパーティになりそうだ。よかったよかった!」
「こうして君達と一緒に食事ができて嬉しいぜ!」
「明日は私達3人も休みだから、時間を気にせず楽しもう」
「わーい!」
「じゃあ、乾杯っすね。卍解~」

 俺達全員は一斉に乾杯した。唯一、酒が飲めないミカエルだけはコーラで乾杯だ。
 俺達は目の前に並べられた豪華な肉料理やサラダを美味しく頂いた。

「そうだ、せっかくだから軍人さん達のことを詳しく聞かせてよ」
「そうだな。まずはハイド伍長の事を聞かせて欲しい」
「ん? 俺のこと? 俺は偵察・暗殺を担当している兵士なんだ。情報収集や忍びが得意だぜ。そして、そこにいるナイト軍曹は俺の幼馴染で頼れるブラザーだ!」

 さすがアメリカン忍者のハイド伍長。やはり見た目通り忍者らしい仕事をしているようだ。
 そしてハイド伍長とナイト軍曹が幼馴染だったという事実が判明。

「2人は兄弟分だったのか。どうりで2人とも趣味が似ているわけだな」
「ん? それはどういう意味?」
「だって2人とも忍者と騎士のコスプレしてんじゃん! そういうの好きなんだろ?」
「おー、そうだな! コスプレブラザーだ!」
「ちげーよ! 確かに俺は忍者マニアだけど、これはれっきとした軍用服なの!」
「そうだぞ。この鎧は軍の特注で絶大な防御力を誇るんだ!」

 言われてみれば、ナイト軍曹の鎧はライナスの攻撃をもろともしなかったな。すげー動きづらそうだけど。

「おう、そうなのか……。馬鹿にしてすまなかったな」
「分かってくれれば良いってことよ!」

 笑顔で返事をするハイド伍長。さすが陽気なアメリカン忍者だ。
 ハイド伍長の自己紹介が終わったところで、次はナイト軍曹の自己紹介が始まる。

「じゃあ次は俺の番だ。俺は軍の中ではマティアス司令官やハンニバル中将に次いで強い兵士なんだ!」
「マジか!?」
「間違いでは無さそうだ。ナイト軍曹はあのライナスに勝ったのだからな」

 ミカエルはナイト軍曹とライナスの一騎打ちをよく観察していたもんな。

「あの時は最初の不意打ちがライナスにヒットしたおかげで楽勝だったぜ。お互い万全の状態なら、もっと良い戦いができただろうな」
「ナイト軍曹ならあんな奴楽勝だろ!」
「おう、それもそうだな! ハッハッハ!」

 自信満々に笑うナイト軍曹。さすが戦闘力"だけ"は一流だぜ。
 ナイト軍曹の自己紹介が終わったところで、次はエーリッヒ大佐の自己紹介が始まる。

「では最後は私の番だ。私は軍のメカニック・パイロットを担当している。地上ではお手製のロボットを操って戦っているよ」
「エーリッヒ大佐は色んな役割を果たせる万能な人なんだね!」
「だろ!? 技術と戦闘を両立できる人材はなかなかいないぜ!」
「エーリッヒ大佐以外で技術と戦闘を両立できるのは、軍の中ではマティアス司令官くらいだな」

 誇らしげに語るハイド伍長とナイト軍曹。1人で何役もこなせるエーリッヒ大佐は凄いな。……って、マティアス司令官も技術者だったのかよォ!?

「いつか君達と一緒に仕事をする時が来るのを楽しみにしているよ」
「おう、俺達も楽しみにしているぜぇ~」

 エーリッヒ大佐の自己紹介が終わったところで、酔っぱらったナイト軍曹がミカエルの隣に寄ってきた。

「ミカエルゥ~! ちゃんと飲んでるかぁ~!?」
「うわっ! ナイト軍曹、どうしたんだ!? 酔っぱらってるのか!?」
「いつか一緒に仕事しようぜ! お前の背中は俺が守ってやるからよ!」
「あぁ……頼りにしているよ」

 こりゃ完全にミカエルに惚れこんでいるぜ。このホモ騎士は。

「ヘイ、ブラザー! その子に無理を押し付けちゃいけないぜ」
「ナイト軍曹、こんな美青年に惚れるとは、なかなか活きのいいホモじゃねーか!」
「ナイト軍曹、ホモビモデルにしてやるから鎧脱ごうぜ!」
「今夜はホモビパーティだ!」
「ホモビパーティ!?」

 俺とレイさんは酔った勢いでナイト軍曹の鎧を脱がそうとするが、ナイト軍曹はそれを拒んだ。
 ナイト軍曹の素顔を見られると思ったのになぁ~。悲しいなぁ。

「おいコラァ! 勝手にホモビモデルにすんじゃねーよ!」
「はっは~! ホモビモデルにされてかわいそうだな、ブラザー! 朝まで付き合ってやろうか~?」

 ハイド伍長はポケットから何やら物騒な(ブツ)を取り出す。

「こんな風に派手にやろうぜ!」
「ハイド伍長!? それはやっちゃ駄目……」

 エーリッヒ大佐がハイド伍長を止めようとするが、時すでに遅し。
 ハイド伍長がうっかり爆弾で大爆発を起こして散らかしてしまった為、みんなで後片付けをすることになったぜ……。

「……ったく! ハイドのせいで酔いが覚めちまったじゃねーか!」
「いやー、みんなごめんごめん! ついやっちまったぜ。でも酔い覚めにはなったろ?」
「とにかく部屋は片付いたし、そろそろ解散にしよう」
「みんな、今日はありがとな!」
「また誘ってね!」

 ハチャメチャなホームパーティだったが十分楽しめたぜ。
 俺達含めた一同は解散し、部屋はナイト軍曹1人になった。

「ちょっと騒がしくなってしまったけど、やっと片付いたな。今日はもう遅いし、俺もそろそろ風呂入って寝るとするか」

 ナイト軍曹が風呂の準備をしようとしたその時、扉を強くノックする音が聞こえてきた。

(ん? もう深夜だというのに……、こんな時間に今度は何の用だ?)
「待っていろ。今、扉を開ける」

 ナイト軍曹が扉を開けると、そこにはハンニバル中将の姿があった。

「こんばんは!」
「ハ、ハンニバル中将!?」
(まずい……! ハンニバル中将の機嫌が悪いぞ……!)

 ハンニバル中将はイライラしている様子だ。

「ナイト! てめぇ……なに部屋の中で暴れてやがる! 今、何時だと思ってるんだ!」
「そ……それが、その……色々と事情がございまして……」
「ドッカンバッカンうるせーんだよ! 近所迷惑だろうが!」
「も、申し訳ございません!」
「今度深夜に騒ぎやがったら……ぶっ殺すからな!」
「再発防止に努めます!」

 ハンニバル中将は怒りながら部屋を去っていく。
 近所迷惑を起こしたのはハイド伍長なのに、ナイト軍曹はとんだとばっちりを受けてしまった。

「ハァ……ハァ……こ、怖かった……。ハンニバル中将は軍で一番恐ろしい存在だ。怒らせないようにしないと……」

 ハンニバル中将は軍の中でも1、2を争う強さを持つ実力者だ。
 大将であるマティアス司令官ですら、ハンニバル中将と本気でやり合えば無傷では済まされない。
 近接戦闘になればハンニバル中将に勝てる者は誰一人いない。

「このままじゃ新入りのあいつらも、うっかりハンニバル中将を怒らせて大変なことになってしまうかもしれない……」

 ナイト軍曹はいつか俺達がハンニバル中将の逆鱗に触れないことを祈りながら夜を過ごした。
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登場人物紹介

【タツヤ】

SMバー「BAR Tatsuya」の店長にして調教師。

店から脱走した従業員の捕獲、およびホモビデオ制作の旅に出発するぜ!

【レイ】

「BAR Tatsuya」の常連客で、タツヤとはマブダチ。

男の子を虐待するのが大好きなおじさんだぜ。

【ミカエル】

素早い行動と状態異常が得意な美青年暗殺者。

殺し屋よりホモビデオ制作の方が儲かるから制作スタッフに転身したようだ。

【ヨウスケ】

魔王に囚われていたニート。

ヘタレなニートだけど便利な道具を多数持ち歩いている頼もしい男だぜ。

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