すすきと風 20130906

文字数 297文字

穂先が揺れる
太陽の光が西から薄く伸びている
虫の声は聞こえぬ
日陰に出来た小さな空間に
日々の陰鬱とした空気がたまっているようだ

風は静かに吹き抜ける
誰の目にも留まらず
誰の心にも触れず
だただた静かにすすきの穂先を揺らしている

悲しいことは何もなかった
ただ日々の退屈に負けてしまったすすきたちが
静かに朽ちていくだけのこと
それだけのこと

毒にも薬にもならない講釈を垂れて
穏やかな時間ばかりが流れていく
陽炎の向こうに見たものは
結局は小さな夢でしかなかったのか

悲しいことは何もなかった
ただ日々の退屈に負けてしまったすすきたちが
静かに朽ちていくだけのこと
それだけのこと
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み