14.ダイナマイトボディ・ミキコのショー

文字数 1,708文字

 香盤表に新しい名前を見つけた。
「ダイナマイトボディの淫乱娘・ミキコ」
 ストレート過ぎるキャッチフレーズだ、想像を働かせる余地もない。
 浦和ミュージックホールの支配人はストリップの何たるかを良く知るプロだが、キャッチフレーズのつけ方はあまり上手くない。
   
 さして期待もせずミキコの登場を見守る。
 なるほど「ダイナマイトボディ」に偽りはなかった、派手に踊りながら登場したミキコはテンガロンハットに白いロングブーツ、星条旗柄のタンクトップにデニムのショートパンツとまるでテキサス娘の格好、そして明らかにノーブラ、特大の胸を激しく揺らしながらの登場だ。
 ヒップもたっぷりで安定感抜群、こうもグラマラスだと腰のくびれが大したことがないのもご愛嬌だ。
 そしてミキコは全く屈託がない、胸を揺らし、腰をくねらせ、尻を盛大に振る踊り、色気は感じないが、ここまで屈託なくやられると愛嬌を感じる。
 俺はミキコを見るのは初めてだが、常連と思しき観客はミキコのペースにむしろ心地良く乗せられて声援を送り、タンバリンを叩き、テープを投げる。
 ミキコは満面に笑みを湛えて回転舞台に歩み出ると躊躇なくタンクトップを脱ぎ捨てる。
 言って置くが、俺はもっと奥ゆかしい、観客を焦らすようなステージが好きだ、そう、みどりのような……しかしこうも思い切りが良いとそれはそれで爽快ではある。
 Gカップもあろうかと言う乳房をあらわにしたミキコは腰を突き出すようにして上体を反らし、激しく上体を左右に振り始める、すると左右に揺れていた乳房が次第に円を描き始め、やがて回転し始める、それを見た観客はやんやの歓声だ、俺もその乗りに身を任せて拳を突き上げて大声で声援を送る、まるでプロレスのノリだが高揚感に酔ってしまう。
 ぐるぐると盛大に乳房を廻しながら、ミキコはショートパンツのボタンを外し、ファスナーを降ろす、中から現れたのは極度に布地の少ないショーツ、それも赤地に青の縁取り、腰の部分はただの紐、おそらくは後ろもただの紐なのだろう、腰を激しく振ってショートパンツを足首まで落してしまうと白いブーツを履いた脚でそれを客席に放り込んでしまう、また大きく湧く客席。
 そしてミキコはステージに膝を突くと腰をぐっと前に突き出す、そしてショーツの前の部分を指でずらす……いわゆるオープンとは違うが、ずれたショーツの端から拝む女性器も中々だ、ミキコはM字、V字、四つん這いとポーズを変えながらショーツをずらして見せる。

 ミキコがその紐に近いショーツまでも客席に放り込んでしまうとまな板タイムだ。
「さあ、じゃんけんだなんてけちな事は言わないよ! 我こそはと思う人は上がってきて、何人でもいいよ!」
「おう!」
「よし来た!」
 威勢のいい若いあんちゃんが真っ先に上がり、続いていかにも肉体労働者、と言う感じのねじり鉢巻のおっさんが上がる。
「もういないの? 二人じゃ物足りない!」
 ミキコの呼びかけに俺も応じることにしてステージに上がる。
「いいね、バラエティに富んでて、行くわよ!」

 ミキコは3人の男相手に大奮闘。
 あんちゃんのパワーに圧倒されながらも搾り取り、おっさんのテクニックに喘ぎながらもしっかりと満足させた。
 二人が終わると俺の番だ。
 俺はあんちゃんにはパワーで、おっさんには経験で遅れをとる、だから一計を案じた。
 あんちゃんとおっさんに左右からミキコを抱えてもらい、騎乗位で思い切り突き上げた、二人がかりで抱えられれば拘束されたのに近い、そして少しだけれど宙に浮いた不安定な状態におくことでミキコの興奮を煽ろうとしたのだ、俺の渾身の突き上げを受け続けたミキコは、「オオオオオゥゥゥゥ」と外人のような雄叫びを上げて果てた……。

 ミキコは下がる時も脱いだ衣装で前を隠すようなことはしない。
 身に着けているのはブーツだけとなった姿で堂々と下がって行き、袖に引っ込む前にもう一度盛大に乳房を振って見せ、観客も口笛を浴びせる。
 ミキコは両手を大きく振りながらステージから去って行った、まるでトルネードが去るように。
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