２０．内藤蘭改め朝霧冷のステージ

　「朝霧冷」が「内藤蘭」と同一人物だったとは、みどりに教えてもらうまで気が付かなかった。
　もっとも、みどりも本人に言われるまで分らなかったそうだが……。
　
　「内藤蘭」、アイドルの名前をもじった芸名からわかるとおり、かつてはそのアイドルにあやかったステージを見せていた、俺が始めてストリップを見た時にも出ていて、その時は本当に似ていると思ってドキドキしたものだが……。

　舞台に踊り出てきた「朝霧冷」はちょっと残念な雰囲気だった。
　ダンスは小気味が良い、しかし音楽は一昔前のディスコ調、一昔前に一世を風靡したものと言うのはうんと古臭く感じてしまう、そして冷自身も少しばかり……。
　メイクはバッチリ、華やかな印象でぱっと目には悪くない、しかし、目そのものは切れ長と言えば聞こえがいいが、かなり細く、少しばかり垂れ気味、それならそれで似合うメイクもありそうなものだが、無理にぱっちり見せようとしているので余計に厚化粧に見えてしまう、もっとも、音楽とダンスがディスコ調なのだからそれに合わせているのだろうが……。
　体つきはスリムさを保っていて、出るべきところ、締まるべきところがはっきりしている、かなり良いプロポーション、しかし、残念ながら胸も尻も重力との戦いに押され気味で、激しい動きにワンテンポ遅れて揺れてしまう。
　服を脱ぐ仕草はかなり上手い、適度に焦らしながら徐々に脱いで行く手順も計算されている……だが、踊りそのものがアップテンポなので脱いでしまった後は晒しっぱなしになる。
　トータル的に悪くはないのだ、踊りもストリップも上手く、プロポーションも良い、ただ、どこかに無理があると言う印象が拭えない。

　曲が変わってムード音楽に。
　冷も激しいダンスを止めて半ば透けている布一枚を体に巻いて再登場。
　回転ステージに横座りになり、ゆったりとした動きで布を巧みに使って見せたり隠したり……今度は音楽もそう古臭くは感じないし、オーソドックスな演出だが焦らしながら見せるテクニックもより際立つ。
　ただ……近くに寄ったことでメイクでは隠し切れない目尻の小じわや胸の垂れ具合、乳首の色素の濃さなどがどうしても目に付いてしまう。
　
　そしてオープンに続くオナニーショー、このパートはかなり見せた。
　ヘアは奇麗に脱毛されていてパイパン、しかし、あそこはかなり使い込まれている印象でパイパンがちょっと不自然に感じてしまうが、冷が指をそこに這わせ始めるとパイパンにした理由がわかる、指使いが絶妙で、オナニーと言うよりも別な人格を持つ女性にあそこを弄ばれているかのように見える。
　指使いだけでなく見えない男に抱かれているかのような腰使いも相当にエロティック、そして最後に四つ這いになって左手でラビアを開き、右手でクリトリスを転がす仕草は特徴的、両手を使うので顔が床に押し付けられ、その顔に浮かぶ表情も本気で感じている様子で男心を誘う……尻を高く掲げていたのが徐々に下がり、最後には床に伸びてしまい、仰向けになって背中をきつく反らせて絶頂に至る、回転舞台を利用するタイミングも流石に手馴れていて、観客に顔が見える角度で仰け反り、半回転したところで腰を上げてしとどに濡れたあそこを観客に晒して終わる、たっぷりと分泌した愛液が妖しくぬめ光り、本気度もしっかり観客に伝わるエンディング。
　
　ショーの途中までは観客の声援もあまり熱を帯びていなかった、おそらく大多数が俺と同じように感じていたのだろう、つまり、計算され、熟成されたステージだが、どこか一つのめりこめない、何か残念な感じがする……しかし舞台を下がる冷には惜しみない拍手と歓声が送られる、ラストのオナニーショーは見ごたえが有ったぞ、と……。