再会２

９時をまわり昨晩の雨も引いていた。私は散るようにヒラヒラと床に寝ころび
過去の未練と惨めさを憂いながら天井を見上げ呆ける。
赤ん坊のの様に待てば来るなど幼き日々のままにいた私の愚かさに恥じた。
彼女は知的で笑えば目が無くなるほど細い狐目の女性だった。
艶ある黒髪に浅黒い健康的な肌に私は見惚れていた。
この女性の隣を歩ければ、この女性と心を通わせる事が出来ればと妄想の限りを尽くし
遂にそれは叶わぬ夢からゲスな妄想になり下がった。
　「叶わなかったというより、何も動けなかった俺がヘタレか・・・」
さて、いつまでも背中を丸めてはいられない。昼からは大事な用事がある。
あまり賑やかな場所は得意ではないが今日は特別だ。またあの娘に会える。
今日は中学時代の同窓会。13時から市民ホールの会場一室で行われる。
流石に昨晩は飲みすぎた故にまずはシャワーでも浴びて目を覚ます事にした。


　浴室から出ると携帯の通知音が鳴る。メッセージの送り主からの内容が私を震わせた。
　　「おはよう。　今日桐も来るってさ！　　てかお前自分で聞けよ笑」
聞けるわけがない。そもそも彼女と最後に連絡をとったのは学生時代だった。
そもそも自分の携帯に入っている連絡先だって繋がるかどうかすら知らないのだから。
エラーメッセージでも来るものならこの身心は一寸先も見えぬ闇に葬らよう。
いそいそと鼻歌を交えながら服を選ぶ様は恋する乙女のごとき浮かれようだ。普段はファストファッション中心でいるが今日は違う。めいいっぱいおめかしをして彼女に会うんだ。
髪も整え昨晩酩酊しながら磨いた靴を履き浮かれ足で玄関を開けた。
燦々と晴れ渡り、雲のない空の下、どこからか子供の声が聞こえる。
私は浮かれていた。