再会7
文字数 1,154文字
各々が思い出話に耽る時間も終わりが近づき、司会が締めの言葉を語る。またいつかこの場所で思い出を語ろう。それぞれ皆、違う道を歩んでいても僕たちには大切な友人と掛け替えのない思い出があります。またいつかお逢いしましょう。皆様、お元気で。
終わりを告げた同窓会はみな名残惜しそうにしている。
人口もさほど多くないこの町ではここを永住の地とせず都会での暮らしを選んだ者も少なくない。私もその内の一人だったのだから。一足会場を出ればまた各々が自分の暮らしへと帰っていく。名残惜しそうに級友と別れを惜しむ者にはうっすら涙を流す者もいる。ホールのエントランスにもしばしの別れをもう一寸でも遅らせようと集まるグループ。
その中に桐の姿もあった。彼女は地元で暮らす側だが長年彼女と友人である数人は都会へと帰っていく。タクシーに乗って家路につく友人にその車が見えなくなるまで手を振っていた。
私はその背中を遠くから見つめていた。
「よぉー恵助。桐とは会えたか?ちゃんと話せたか?」
アルコールの匂いをプンプンと撒き散らし、顔を赤くした晋と文成がおぼつかない足取りで歩み寄って来る。こいつらはどれだけの量を飲んだのだろう。いつぞや3人で行った居酒屋で炭酸水が品切れになる程ハイボールを摂取したウワバミ2人を思い出す。
「二次会。行くよな?桐も誘えよ。今度はお前が行け」
「ごめん。明日はちょっと片付けなきゃいけない仕事があるからまた今度な。」
「なんだよー。付き合いわりぃぞ。まさか桐と二人で・・・」
普段はれっきとした社会人として世のため人のためと労働に勤しむ彼らも酒が入ればこの通り。
暴飲した翌朝元気に出社した2人を除いた私は半日トイレから出ることは出来なかった。
これがこの街に起きたハイボール事件だった。
「二次会行くの?私はそろそろ帰らなきゃなぁ」
「桐は来るよな。二次会。旦那も今日くらい多めに見てくれるだろ」
「酔っ払いだらけの二次会なんて行けません」
ぴしゃりとアルコールで頬を赤らめた桐は笑みを浮かべながら酔っ払い2人をを跳ね除ける。
その方が良いだろう。エントランスで二次会行きの雰囲気を出している連中はみな体育祭のごとく大盛り上がりだ。まだまだ夜は長いと勢いに任せてタクシーへと乗り込む姿は二次会の会場でも羽目を外す事が簡単に予想出来たのだから。
「じゃ。わたしも旦那が帰ってくる頃だから帰るね。今日は楽しかったよ。またね」
酔っ払い2人と私にヒラヒラと手を振りコツコツとヒールを鳴らし、ロータリーへ向かっていく彼女の姿が足取り重く見えた。それは級友との別れた直後の寂しさなのか、祭りの余韻なのか。
彼女は一人家路を辿った。
私はバックライトが見えなくなるまで。そのまま。そのまま。
終わりを告げた同窓会はみな名残惜しそうにしている。
人口もさほど多くないこの町ではここを永住の地とせず都会での暮らしを選んだ者も少なくない。私もその内の一人だったのだから。一足会場を出ればまた各々が自分の暮らしへと帰っていく。名残惜しそうに級友と別れを惜しむ者にはうっすら涙を流す者もいる。ホールのエントランスにもしばしの別れをもう一寸でも遅らせようと集まるグループ。
その中に桐の姿もあった。彼女は地元で暮らす側だが長年彼女と友人である数人は都会へと帰っていく。タクシーに乗って家路につく友人にその車が見えなくなるまで手を振っていた。
私はその背中を遠くから見つめていた。
「よぉー恵助。桐とは会えたか?ちゃんと話せたか?」
アルコールの匂いをプンプンと撒き散らし、顔を赤くした晋と文成がおぼつかない足取りで歩み寄って来る。こいつらはどれだけの量を飲んだのだろう。いつぞや3人で行った居酒屋で炭酸水が品切れになる程ハイボールを摂取したウワバミ2人を思い出す。
「二次会。行くよな?桐も誘えよ。今度はお前が行け」
「ごめん。明日はちょっと片付けなきゃいけない仕事があるからまた今度な。」
「なんだよー。付き合いわりぃぞ。まさか桐と二人で・・・」
普段はれっきとした社会人として世のため人のためと労働に勤しむ彼らも酒が入ればこの通り。
暴飲した翌朝元気に出社した2人を除いた私は半日トイレから出ることは出来なかった。
これがこの街に起きたハイボール事件だった。
「二次会行くの?私はそろそろ帰らなきゃなぁ」
「桐は来るよな。二次会。旦那も今日くらい多めに見てくれるだろ」
「酔っ払いだらけの二次会なんて行けません」
ぴしゃりとアルコールで頬を赤らめた桐は笑みを浮かべながら酔っ払い2人をを跳ね除ける。
その方が良いだろう。エントランスで二次会行きの雰囲気を出している連中はみな体育祭のごとく大盛り上がりだ。まだまだ夜は長いと勢いに任せてタクシーへと乗り込む姿は二次会の会場でも羽目を外す事が簡単に予想出来たのだから。
「じゃ。わたしも旦那が帰ってくる頃だから帰るね。今日は楽しかったよ。またね」
酔っ払い2人と私にヒラヒラと手を振りコツコツとヒールを鳴らし、ロータリーへ向かっていく彼女の姿が足取り重く見えた。それは級友との別れた直後の寂しさなのか、祭りの余韻なのか。
彼女は一人家路を辿った。
私はバックライトが見えなくなるまで。そのまま。そのまま。