第66話

文字数 695文字

「お待たせでした。そこの角を曲がったところのイタリアン、この街を代表するお店なのよ。
今電話して席を取っておきましたわ」
「それはすばやい。
この街はあなたのところしか来ないからまるで門外漢なのですよ」
「確かにおしゃれな店はたくさんありますわ。
ほら向かいの緑のカフェー、あれしばしば雑誌に出ている。
そしてその隣のお花屋さんはあそこで買って送ると恋が実るという噂なのよ。
まあきっとお店の宣伝だと思いますけれど。
そしてこのお店がそのイタリアンです。
シェフがイタリア帰りというのは珍しくないけれど、ここのシェフはイタリア人なの。生粋のナポリ人、だからここはイタリア料理というよりナポリ料理なの」
「ボンジョルノ」
「ああ、ボンジョルノ倫子さん、元気ですか」
「元気よ、今日はお友達となの」
「おお、ベーネ、ベニッシモ。一番奥の席を取っておきました」
「ありがとう」
「倫子さん。はいメニューです。ランチだからお酒はダメですか」
「そうね、まだ働き時間中だから」
「でもナポリではお昼にちょっとビールはありですよ」
「そうね。でもやめておくは、ここは東京だから。ところでお勧めは」
「今日は特別のお勧めがあります。地中海のtonno、マグロです」
「今まで長く獲ってはいけなかった。そう、少ししかいなかったから、昔たくさん獲って減ってしまったから。でも今年からまた獲ってもいいことになった。10年ぶりくらいで日本に入ってきた。昨日築地で見つけたのです。これとても美味しい。日本のマグとはまた違う味です。とてもコリコリして歯ごたえがある。これ早速カルパッチョにしました。試してください」
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