第59話

文字数 405文字

 あっという間の3カ月だった。この間に桜の季節が訪れ、ゴールデンウイークの10連休があり、街は浮かれた遊びの気分が満ち満ちていた。全ては私には全く関係のないことだった。
一人遊びほどつまらないものはない。誰とも何も共有できないのだから。
ひたすらただただ日々を過ごした。

 友達に紹介されて始めた画廊でのアルバイトも結構気休めになった。
鉄男のことを思いながら、ジリジリとして鉄男の子供を本当に授かるのかと考えているのも不安が増すだけで、画廊で良い絵を見て楽しくしているのはとてもいい。

 父からは何も連絡はない。父も来年に迫った退官後の準備や後継者問題などで結構忙殺されているようだった。
それに会っても話は必ず鉄男の子供のことになるだけで、できれば父とはその話はしたくなかった。
それはあの時お互いが決心して始めたこと、二人だけの秘密で今更喋ることではない。
ただただ粛々と実行するだけのことなのだ。
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