第53話
文字数 462文字
「はい、教授」
総国寺病院の地下駐車場に着いたのはちょうど1時。心停止後120分が経っている。
後残りは60分だ。
エレベーターは停止しているので階段で3階の手術室まで行く。
蜷川先生が階段の前で待っていてくれた。
とても緊張しているが以前のような弱々しさは微塵も感じさせない、みなぎりが伝わってくる。
「蜷川君、睾丸の性状はとてもいい。左だ、動静脈そして尿道への吻合部分も共に十分の長さを確保してある」
「それはよかったです。準備は整っております。
それでは教授、手術台に寝てください。
直ちに始めます。
すみません、麻酔の注射です」
父は手術台に寝て目をつむっている、何も言わない。
「すみません、倫子さん、倫子さんは血は大丈夫ですか」
「大丈夫って、それほど好きではないけれどそんなこと言っている場合ではありませんわ。
先生はとにかく集中してください、必要なことは言ってください、なんでもしますから」
「ありがとうございます。
それでは麻酔の注射から始めますので倫子さんは教授の枕元で教授の顔を見ていてください」
総国寺病院の地下駐車場に着いたのはちょうど1時。心停止後120分が経っている。
後残りは60分だ。
エレベーターは停止しているので階段で3階の手術室まで行く。
蜷川先生が階段の前で待っていてくれた。
とても緊張しているが以前のような弱々しさは微塵も感じさせない、みなぎりが伝わってくる。
「蜷川君、睾丸の性状はとてもいい。左だ、動静脈そして尿道への吻合部分も共に十分の長さを確保してある」
「それはよかったです。準備は整っております。
それでは教授、手術台に寝てください。
直ちに始めます。
すみません、麻酔の注射です」
父は手術台に寝て目をつむっている、何も言わない。
「すみません、倫子さん、倫子さんは血は大丈夫ですか」
「大丈夫って、それほど好きではないけれどそんなこと言っている場合ではありませんわ。
先生はとにかく集中してください、必要なことは言ってください、なんでもしますから」
「ありがとうございます。
それでは麻酔の注射から始めますので倫子さんは教授の枕元で教授の顔を見ていてください」