第115話

文字数 472文字

 私が今までずっと思っていたのは私の中に核となる鉄男を入れる。
阪田さんはとても好きだけれど阪田さんは私の妊娠もとっても大事にしてくれていたけれど本音としては阪田さんの子を欲しいと思ったことはなかった。
私は鉄男の核を入れたことで阪田さんと付き合っていたのだから。
鉄男の核を入れた鉄男込みの私が阪田さんと付き合ったのだった。
確かに阪田さんは自分では私の子の父親は自分だと思っている。
それに疑いなんか持っていないし、私も特別説明もしなかった。
それは現実的対応の私、本音は鉄男の核付きが私。
だからそうか、阪田さんはこのこと自分の子がなくなってしまったと思っているのだ、だからあの日もあんなにやさしくしてくれたわけだ、阪田さんて本当に優しい、それにひきかえ私はなんて自分勝手なのだろうか、核としての鉄男で阪田さんと一緒なんて考えているからバチが当たったのだ。
そして父だ。確かにとてつもないリスクを冒し、自分の体を傷つけてまで鉄男を移植してさらには娘である私としたのに、それなのに私はそれを反故にしてしまった。
こんな酷い裏切りはないよ。
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