第52話 蒲団
文字数 225文字
田山花袋。
最初のうちは面白かったけど、この作者の、内面の縷々たる動きの表現に、自身が徐々に手を焼き始めた様子、その「中たるみ」感が、途中から感じられて、読み始めた頃の魅惑は、読み終えてみれば、さして残跡なし。
事実のみに重きをおいて書いた「私小説」ではなく、自己の内面吐露を、明治40年、20歳ほどの女弟子を恋した、妻子ある分別ある中年の作家が、克明におこなった、というところに、この作の意義があるんだろうか?
あとは、中勘助だ。シブイネ、明治。
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