第35話 取り調べの答え
文字数 3,872文字
疲弊しげっそりとした表情の須藤と、なんか期待外れだった! といわんばかりにイライラした表情をした理沙が取り調べ室から牧田や他の刑事達のいる部屋に戻ってきた。
「申し訳ありません! あれからずっと口を噤まれてしまい、僕らでも教団NO.2から最終テロの情報を引き出す事はできませんでした……」
言い須藤は部屋にいた刑事全員にまとめて詫びるように大きく頭を下げるが、見物の刑事達の半数がすでにその場から立ち去っており、残りの約半数の者達も須藤達に構っている暇はないとばかりに慌ただしく電話やメールで己の部署とやり取りをしている。
「へ?……」
電話を終えた牧田が須藤の肩を叩く。
「よくやったぞ、二人とも! 悪くないネタを得た! ここにいた連中の多くが慌てて自分の持ち場に戻ったぞ!」
「へ?……」とまた同じ反応を須藤がした。
「いやあ~、時間をくれればまだましな情報を得られたかもってやつだ」言い、理沙が大きく舌打ちをした。
「いいや、もう本庁から早く信者らをまとめて寄越せとブチ切れの電話が来てるし、それに今の取り調べには収穫があった。予想外だったがな」
何が何だかまったく分からず、須藤が助け舟を求めるようにチラと理沙に顔を向ける。
「…………」
理沙が何かにモヤモヤしているかのように憮然とした表情で口を開く。
「マー坊、祐華ちゃんが私達と話したかった目的はなんだと思った?」
「え……それは村にいた現場の人間から、信者達の安否を確認したくて……ですか?」
「その通り、祐華ちゃんは
「……なるほど……」
「でだ、そんな中、なぜわざわざ昇麻だけ名指しで死を確認してきたんだろね?」
そこで、その場に残っていた岸川が横から口を挟んでくる。
「なぜならあの女がもっとも知りたかったのは昇麻の死の情報だ。幹部なだけに下っ端の素人よりも深いところまでテロ計画の実情を知っているからな」
ロリコンの変態と口はきかん! といわんばかりに背中を向けた理沙に構わず岸川は続ける。
「そして、死体や所持品を燃やすよう進言してきたのは、そこにテロ計画の情報に関する物的証拠や何かがあるからだ!」
自分の力で情報を得たかのように荒い息をしながら岸川が続ける。
「間違いない、昇麻って奴を探れば何が出て来る! それで今、大至急、笹原に昇麻の死体を調べさせているところだ」
その時、岸川の携帯から着信音が響いた。
「おお、早速、笹川から連絡がきた! 皆、静かにしてくれ!」
言うと岸川は周りの人間に笹川が自分の部下だという事をアピールするように、尊大な物腰で電話に出る。
「おい、どうなってる、笹原。昇麻について鑑識課から何か……」
と、次の瞬間、岸川が上司の威厳が吹っ飛ぶような裏返った声を上げる。
「なにぃ~! 昇麻のポケットからメモ帳が出てきて最終テロを行う場所やその詳細が書いてあるだと!」
須藤だけではなく、周りにいた刑事達が一斉に緊迫した表情で岸川に顔を向ける。
「!!」
理沙が気に入らないとばかり吐き捨てるように声を出した。
「ケッ!」
「よし、なになに……まず残りの信者達は全て芝公園にある証券会社のフロアーを占拠して隠れているだと? その証券会社の名は?……よし……残りの信者全員がその証券会社の社員に扮装してテロの待機をしているんだな? そして教祖は逮捕を逃れるためにキャンピングーにのって移動をしながら待機していると?」
岸川がそこで一度、額から溢れ流れる汗を袖で拭った。
「は?……それで東京タワーの下に巨大魔神が眠っていると書いてあるだと……分かった、キ〇ガイらしく何を考えているか分からないが、ともかく残りの信者100人がどこ隠れていて巨大魔神が何なのかが分かった……よくやったぞ。またなんかテロに関連する情報が分かり次第、すぐ俺に連絡しろ」
岸川からの情報を聞き取った刑事達は衝撃を受けた顔をしながら、自分達の本来の持ち場に戻るように我先へとバタバタと部屋から駆けて出て行く。
電話を切った岸川が威圧するように理沙を睨む。
「おい、そこの偽物の二人組! 言っておくが今回の件の報告書は俺の名で俺が書く。当然の事だろ?」
「ほお、堂々と手柄を全て横取りてってか? 笹原って女刑事もいい上司を持ってさぞかし誇らしいだろうに」
理沙の嫌味も屁とも思わないように、岸川が勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「へっ、固い事言うなよ。男を立てるのも女の……」
と、そこへ牧田が怒気を込めて口を挟む。
「いつまでくだらない事をくっちゃべってる気だ? 時間がないんだぞ。とっとと報告すべきところへ報告してSAT(特殊急襲部隊)や都心の警官全てを現場に送り込む手配をしろ! こうしている間にテロが起きたらお前に責任を背負わせるぞ!」
本庁のエリートに睨まれると岸川は縮み上がり、慌ててドアの外へ飛び出して行った。
「は、はい! それでは失礼いたします!」
嫌味な野郎が去った後も落胆したように肩を落としている理沙に牧田が顔を向ける。
「おいおい、何をがっかりしている? 口裂け女! らしくないぞ。心配すんな、あのハゲのロリコン刑事に手柄を持っていかせやしないさ。後で本庁で奴から証拠品を取り上げて全て俺の手柄にする。決まってるだろ?」
「いやいや、別にどうどうもいい事だよ。そもそも私は手柄なんちゃらなんて興味なしだ」
「ほお、じゃあ、なぜ冴えない顔をしている?」
「何か嫌な予感がする。いくらなんでも祐華ちゃん、浅はかすぎだ。おかげで簡単に教団の最終テロの情報が露呈された……いや、マジか? 本当に信じていいのかやらだ?」
「NO.2の幹部とはいえ、所詮閉鎖されたカルト教団での話だ。限度を超えた世間知らずに決まってる。まあ、どっちにしろテロ事件は解決が近づいた。いい傾向じゃないか」
牧田が“そうだろ?”と言うように須藤に顔を向ける。
「ええ、これで一般市民から被害を出す前に信者達の潜伏場所が分かったんです。もう僕らが気をもむ必要はありませんよ」と、須藤が何の疑問も持たない顔で同意した。
理沙は納得がいかないとばかりに口を尖らせる。
「祐華ちゃん……ただのカルトの頭プッツン娘には見えないんだけどなあ。巨大魔神の正体が東京タワーの下にあるっつのも意味が分からんし……」
と、今度は牧田の携帯が鳴った。
「おっと、本庁から呼び出しが来たようだ。俺も行かせてもらうぞ」
言い、出口に向かった牧田の背中向かって須藤が尋ねる。
「僕らはどうすれば?」
「そうそう、センター街に焼肉食べに行っていいわけ、ね、ね? てっか腹ペコだから勝手に行っちゃうよ! 領収書は牧田のとっつあんに出すってことでいい?」と理沙が付け足した。
「いいや、お前らはしばらくここで待機だ。特に口裂け女、お前はだ! まだ都市伝説の怪物を勝手に渋谷に出歩かせるのは早い。この場で待機したまま俺からの連絡を待て!」
「ええ~! 少しぐらいいじゃん!」
「バカ言うな。警察上層部がお前の改心を認めるまで好き勝手は許さん! 二人は一歩もここから出るな。これは命令だ、いいな?」
「ええ、マジで? 渋谷のテロを防いだうえ他のテロの情報も得たんだから、ちょっとくらいご褒美をくれたっていいいじゃん! 大丈夫、マー坊と一緒に行動するからさ~!」
牧田は怪物に向けるような鋭い目を理沙に向けた。
「その前に
牧田はそう捨て台詞を残すと理沙と須藤に背中を向け、その場から去って行く。
「うげ~~~っ、もう! 何十年も前の前世紀の話をいつまでも、たっく~!」
苛立ちを発散させるように頭をバリバリ搔きながらそう大声を上げると、理沙は部屋の隅に残っていた刑事らしき老人の前に詰め寄った。
「昭和、昭和って! まったく、どいつもこいつも! いいでしょ、いいでしょよ、おもしろい! だったらここで昔の決着をつけようじゃないか! なあ、爺さん?」
「は?……俺?」その老人は仰天したように目を丸めた。
「そうよ、だから昭和の決着をつけるってのよ! 昭和の人! 言っとくけどあの時の決着はついていないよ! どっちにしろ私の方から見つけて挨拶に行くつもりだったし!」
エキサイトする理沙と怯えた表情で言葉が出なくなっている老人の間に須藤が急いで割って入った。
「何してるんですか、警部。老人に八つ当たりをしてはいけません! いくら自分の思い通りに解放されないからってなんて酷い事をするんです! 見損ないました! この老人に何かをしてもあなたと警察の昭和時代からの因縁が消えるわけではありません!」
「え、いや、違うって、マー坊。八つ当たりじゃないってば。この爺さんとケリを……」
「だから何を訳の分からない事を言ってるんですか、もう! ほら老人が怖がっているのでもう少し後ろに下がってください!」
と須藤が咎めた時、今度は理沙の携帯から着信音が鳴った。
「おっ、伊瑠沙ちゃんからじゃん!」
理沙が興味の対象が変わったように電話に出ると、老人はその隙をつくようにバタバタと廊下に飛び出し、走って逃げて行った。
「どうよ、伊瑠沙ちゃんそっちの様子は?」
すると自信に満ちた女王様の声が返ってくる。
「信者達を吐かせた。喜べ、まだ
「申し訳ありません! あれからずっと口を噤まれてしまい、僕らでも教団NO.2から最終テロの情報を引き出す事はできませんでした……」
言い須藤は部屋にいた刑事全員にまとめて詫びるように大きく頭を下げるが、見物の刑事達の半数がすでにその場から立ち去っており、残りの約半数の者達も須藤達に構っている暇はないとばかりに慌ただしく電話やメールで己の部署とやり取りをしている。
「へ?……」
電話を終えた牧田が須藤の肩を叩く。
「よくやったぞ、二人とも! 悪くないネタを得た! ここにいた連中の多くが慌てて自分の持ち場に戻ったぞ!」
「へ?……」とまた同じ反応を須藤がした。
「いやあ~、時間をくれればまだましな情報を得られたかもってやつだ」言い、理沙が大きく舌打ちをした。
「いいや、もう本庁から早く信者らをまとめて寄越せとブチ切れの電話が来てるし、それに今の取り調べには収穫があった。予想外だったがな」
何が何だかまったく分からず、須藤が助け舟を求めるようにチラと理沙に顔を向ける。
「…………」
理沙が何かにモヤモヤしているかのように憮然とした表情で口を開く。
「マー坊、祐華ちゃんが私達と話したかった目的はなんだと思った?」
「え……それは村にいた現場の人間から、信者達の安否を確認したくて……ですか?」
「その通り、祐華ちゃんは
村にいた全員が確実に死んだという確証が欲しかった
。この後に行われる最終テロの情報が警察に洩れないためにも」「……なるほど……」
「でだ、そんな中、なぜわざわざ昇麻だけ名指しで死を確認してきたんだろね?」
そこで、その場に残っていた岸川が横から口を挟んでくる。
「なぜならあの女がもっとも知りたかったのは昇麻の死の情報だ。幹部なだけに下っ端の素人よりも深いところまでテロ計画の実情を知っているからな」
ロリコンの変態と口はきかん! といわんばかりに背中を向けた理沙に構わず岸川は続ける。
「そして、死体や所持品を燃やすよう進言してきたのは、そこにテロ計画の情報に関する物的証拠や何かがあるからだ!」
自分の力で情報を得たかのように荒い息をしながら岸川が続ける。
「間違いない、昇麻って奴を探れば何が出て来る! それで今、大至急、笹原に昇麻の死体を調べさせているところだ」
その時、岸川の携帯から着信音が響いた。
「おお、早速、笹川から連絡がきた! 皆、静かにしてくれ!」
言うと岸川は周りの人間に笹川が自分の部下だという事をアピールするように、尊大な物腰で電話に出る。
「おい、どうなってる、笹原。昇麻について鑑識課から何か……」
と、次の瞬間、岸川が上司の威厳が吹っ飛ぶような裏返った声を上げる。
「なにぃ~! 昇麻のポケットからメモ帳が出てきて最終テロを行う場所やその詳細が書いてあるだと!」
須藤だけではなく、周りにいた刑事達が一斉に緊迫した表情で岸川に顔を向ける。
「!!」
理沙が気に入らないとばかり吐き捨てるように声を出した。
「ケッ!」
「よし、なになに……まず残りの信者達は全て芝公園にある証券会社のフロアーを占拠して隠れているだと? その証券会社の名は?……よし……残りの信者全員がその証券会社の社員に扮装してテロの待機をしているんだな? そして教祖は逮捕を逃れるためにキャンピングーにのって移動をしながら待機していると?」
岸川がそこで一度、額から溢れ流れる汗を袖で拭った。
「は?……それで東京タワーの下に巨大魔神が眠っていると書いてあるだと……分かった、キ〇ガイらしく何を考えているか分からないが、ともかく残りの信者100人がどこ隠れていて巨大魔神が何なのかが分かった……よくやったぞ。またなんかテロに関連する情報が分かり次第、すぐ俺に連絡しろ」
岸川からの情報を聞き取った刑事達は衝撃を受けた顔をしながら、自分達の本来の持ち場に戻るように我先へとバタバタと部屋から駆けて出て行く。
電話を切った岸川が威圧するように理沙を睨む。
「おい、そこの偽物の二人組! 言っておくが今回の件の報告書は俺の名で俺が書く。当然の事だろ?」
「ほお、堂々と手柄を全て横取りてってか? 笹原って女刑事もいい上司を持ってさぞかし誇らしいだろうに」
理沙の嫌味も屁とも思わないように、岸川が勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「へっ、固い事言うなよ。男を立てるのも女の……」
と、そこへ牧田が怒気を込めて口を挟む。
「いつまでくだらない事をくっちゃべってる気だ? 時間がないんだぞ。とっとと報告すべきところへ報告してSAT(特殊急襲部隊)や都心の警官全てを現場に送り込む手配をしろ! こうしている間にテロが起きたらお前に責任を背負わせるぞ!」
本庁のエリートに睨まれると岸川は縮み上がり、慌ててドアの外へ飛び出して行った。
「は、はい! それでは失礼いたします!」
嫌味な野郎が去った後も落胆したように肩を落としている理沙に牧田が顔を向ける。
「おいおい、何をがっかりしている? 口裂け女! らしくないぞ。心配すんな、あのハゲのロリコン刑事に手柄を持っていかせやしないさ。後で本庁で奴から証拠品を取り上げて全て俺の手柄にする。決まってるだろ?」
「いやいや、別にどうどうもいい事だよ。そもそも私は手柄なんちゃらなんて興味なしだ」
「ほお、じゃあ、なぜ冴えない顔をしている?」
「何か嫌な予感がする。いくらなんでも祐華ちゃん、浅はかすぎだ。おかげで簡単に教団の最終テロの情報が露呈された……いや、マジか? 本当に信じていいのかやらだ?」
「NO.2の幹部とはいえ、所詮閉鎖されたカルト教団での話だ。限度を超えた世間知らずに決まってる。まあ、どっちにしろテロ事件は解決が近づいた。いい傾向じゃないか」
牧田が“そうだろ?”と言うように須藤に顔を向ける。
「ええ、これで一般市民から被害を出す前に信者達の潜伏場所が分かったんです。もう僕らが気をもむ必要はありませんよ」と、須藤が何の疑問も持たない顔で同意した。
理沙は納得がいかないとばかりに口を尖らせる。
「祐華ちゃん……ただのカルトの頭プッツン娘には見えないんだけどなあ。巨大魔神の正体が東京タワーの下にあるっつのも意味が分からんし……」
と、今度は牧田の携帯が鳴った。
「おっと、本庁から呼び出しが来たようだ。俺も行かせてもらうぞ」
言い、出口に向かった牧田の背中向かって須藤が尋ねる。
「僕らはどうすれば?」
「そうそう、センター街に焼肉食べに行っていいわけ、ね、ね? てっか腹ペコだから勝手に行っちゃうよ! 領収書は牧田のとっつあんに出すってことでいい?」と理沙が付け足した。
「いいや、お前らはしばらくここで待機だ。特に口裂け女、お前はだ! まだ都市伝説の怪物を勝手に渋谷に出歩かせるのは早い。この場で待機したまま俺からの連絡を待て!」
「ええ~! 少しぐらいいじゃん!」
「バカ言うな。警察上層部がお前の改心を認めるまで好き勝手は許さん! 二人は一歩もここから出るな。これは命令だ、いいな?」
「ええ、マジで? 渋谷のテロを防いだうえ他のテロの情報も得たんだから、ちょっとくらいご褒美をくれたっていいいじゃん! 大丈夫、マー坊と一緒に行動するからさ~!」
牧田は怪物に向けるような鋭い目を理沙に向けた。
「その前に
自分が昭和の時代、世にどんな恐ろしい事をしたか思い出してみるんだな
。自分の正体も含めてな
。そうすれば皆がお前を警戒する理由が分かるだろう。」牧田はそう捨て台詞を残すと理沙と須藤に背中を向け、その場から去って行く。
「うげ~~~っ、もう! 何十年も前の前世紀の話をいつまでも、たっく~!」
苛立ちを発散させるように頭をバリバリ搔きながらそう大声を上げると、理沙は部屋の隅に残っていた刑事らしき老人の前に詰め寄った。
「昭和、昭和って! まったく、どいつもこいつも! いいでしょ、いいでしょよ、おもしろい! だったらここで昔の決着をつけようじゃないか! なあ、爺さん?」
「は?……俺?」その老人は仰天したように目を丸めた。
「そうよ、だから昭和の決着をつけるってのよ! 昭和の人! 言っとくけどあの時の決着はついていないよ! どっちにしろ私の方から見つけて挨拶に行くつもりだったし!」
エキサイトする理沙と怯えた表情で言葉が出なくなっている老人の間に須藤が急いで割って入った。
「何してるんですか、警部。老人に八つ当たりをしてはいけません! いくら自分の思い通りに解放されないからってなんて酷い事をするんです! 見損ないました! この老人に何かをしてもあなたと警察の昭和時代からの因縁が消えるわけではありません!」
「え、いや、違うって、マー坊。八つ当たりじゃないってば。この爺さんとケリを……」
「だから何を訳の分からない事を言ってるんですか、もう! ほら老人が怖がっているのでもう少し後ろに下がってください!」
と須藤が咎めた時、今度は理沙の携帯から着信音が鳴った。
「おっ、伊瑠沙ちゃんからじゃん!」
理沙が興味の対象が変わったように電話に出ると、老人はその隙をつくようにバタバタと廊下に飛び出し、走って逃げて行った。
「どうよ、伊瑠沙ちゃんそっちの様子は?」
すると自信に満ちた女王様の声が返ってくる。
「信者達を吐かせた。喜べ、まだ
警察の誰も入手していないテロの情報を掴んだぞ
!」