死ぬほど恥ずかしい話

文字数 1,259文字

 現場では、ヘルプとは名ばかりな玩具扱い。
 暗がりの魔窟に潜む黒ギャルの餌食になる俺は全裸に首輪という格好で弄ばれ撮影された画像を次々にSNSへ投稿された。

 これで俺は名実共に
 「変態」と、世に知らしめることになる。

 もちろん、男手あっての事件簿。

 手始め無数のローファーで踏み潰される洗礼から始まり、後ろ手に縛られ床に膝を突くと頭を下げ、尻を突き出す格好にされた。
 薄暗く狭い空間に彼女たちの甲高い笑い声が大音量で耳を貫く。
 続いて恐怖を煽るようにしてバリカンを顔の前に突き出し、スイッチを何度も切り替えながら遂には頭の項から真っ直ぐに刃を押しこまれ禿の一本道に冷や汗が吹き出る。
 手を叩いて狂ったように大笑いする彼女たち
 ムービーの赤いランプが点滅すると、またバリカンの刃が頭皮に当てられ根こそぎ剃り落とされた。
 凄惨な現場で起きる悪魔の儀式は終わらない。
 坊主頭にされた後、首に繋がれた鎖を引き上げられ、苦しさから立ち上がれば晒された下半身の前にしゃがむ清楚系を売りにした黒髪の女が撮影を始めた。
 
 使い捨てライターをノックして、火を点ける。

 最初は太股や臑毛を炙って喜んでいたが、熱に焼かれる痛みと恐怖に暴れる俺を見て「もう、やめよう」飽きたのか顔色を変えてリタイアする者がひとり、ふたり。
 ほっとしたのも束の間
 顔の前でピースサインを仲間に送る女が、慣れた仕草で髪をかき上げながら焦げた毛が縮れる中央に舌を絡ませた。
 不測の事態に反応してしまう。
 これまで肉体に迫る痛覚を刺激されることはあっても快楽には無頓着で唾を粘らせ口に含まれる感触を斬新に捉えた。
 初めての感触だった。
 誰にも触らせたことのない身体を女の細い指が、それを探すように(ねぶ)り芯から織りなす熱をしつこく繰り返す。我慢できない領域まで一方的に追い込まれところで目が覚めるような激痛に甦る苦悶。
 「聞こえねぇーよ!」
 「もっと…×××…して下さい、だろ。クソ童貞」
 厭らしい屈辱の言葉で強請るよう命令し、その通りに言葉を吐き出す。
 次第に濃厚な雰囲気に包まれ、入れ替わる女のひとりが四角い銀の袋を歯に挟んで破り、ポリウレタン製の透明なリングが小突かんとする突起の先端から卑猥な音を湿らせながら下げられた。
 これも初体験
 避妊用具の窮屈さに膝を擦りよせながら「犯される」絶望に…もう、何も考えられなくなっていた。

 おそらく悟られ、仇になったのだろう。

 再びライターを手にする女は、何処ということなく見つめた先に火を放った。
 樹脂一枚を隔てた突起物が揺らぐ火に寄せられた瞬間、溶けた臭いと煙が鼻を貫き標的となった箇所に激痛が走り俺は吠えるようにして一度大きく叫んだ。
 その場に背を丸めて倒れ込み、気管支から吹き上げる熱い息が自分を取り巻く。
 折れるほど強く歯を食いしばり見えない恐怖に耐える最中、体中の穴から水分が飛び出ることを制御できずに、羞恥の極みに到る。
 ゆっくりと沈むように息を噴かせ、髪を耳にかける悪魔の模造に見下ろされながら…途切れてた。
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