第15話

文字数 876文字

「大龍神さん!俺の身体から出たんですか?」

「勉の姿が戻ってないだろ」

勉の問いに大龍神が返事をすると勉が再び口を開いた。

「樹海が大龍神さんを現れさせた」

「その通りだ」

「どうして樹海が」

「俺が樹海に頼んだ」

「……」

「勉に大事な話があるから」

「大事な話?」

「青い龍の進化によってデーモンは怒り暴走するだろ」

「暴走したら大変なことになるんじゃ」

「勉」

「はい」

「青い龍みたいに他の龍達も進化できるはずだ」

「俺に言われても」

勉がそう口にしたその時、樹海が騒ぎだし大龍神が消えた。

「消えた…」

まわりを見渡しながら勉は歩きながら近づいてくる美咲に目を向けた。

「美咲!どうしてここに」

「お兄ちゃん、無事だったのね」

立ち止まり美咲は勉に向かって矢を向けた。

「お兄ちゃん、青い龍をここに呼んでくれないかしら」

「ブルーさんをなぜ」

「青い龍の進化のせいで私はデーモンに嫌われたのよ」

「美咲…」

勉と美咲が目と目を合わせる頃、人間姿の緑の龍と赤い龍と黒い龍と青い龍は洞窟の中で話をしていた。

「あのキスはなんだ」

「見てたのか」

「なぜキスをした」

「キスをしたかったからキスをしたんだ」

人間姿の緑の龍と青い龍の会話の中、人間姿の赤い龍と黒い龍は勉の心の乱れを感じた。

「緑の龍、青い龍、話は止めて勉を感じろ…心が乱れてる」

「何かあったに違いない」

そう言って人間姿の赤い龍と黒い龍が洞窟から出ていくと人間姿の緑の龍と青い龍も洞窟から出ていった。

そして人間姿の赤い龍と黒い龍と緑の龍と青い龍は目と目を合わせている勉と美咲の姿を目撃した。

「勉!」

人間姿の青い龍が勉に近づくと美咲が青い龍に向かって話しかけた。

「あんたの進化のせいで私は…」

そう言って美咲が矢を構えながら人間姿の青い龍に向かっていくとデーモンが現れ美咲の手を掴み動きを止めた。

「デーモン」

「美咲、お前に愛はない」

「お兄ちゃんが好きだから?」

「……」

美咲を抱きしめデーモンは小さな声で「俺の前から永遠に消えろ」と囁き美咲の背中に悪魔の毒の矢を突き刺し離れた。

「……」

目から涙を流しながら美咲はうつ伏せで倒れた。
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