第4話

文字数 1,110文字

「いつまでこうしてるんですか?」

ミドリに抱きしめられドキドキが止まらず早く離れたい勉が問いかけると険しい顔をしながらミドリが口を開いた。

「建物の前で止まった」

「え…」

険しい顔で見つめるミドリの目線の先を勉も見つめたその時、外から声が聞こえた。

「お前がどこに居ようと俺にはわかる」

「デーモン」

「デーモンって悪魔のボス」

「デーモンは危険な男だ、俺が良いと言うまで隠れてろ」

「わかった」

ミドリの手が離れると勉は奥の部屋に行き中に入るとドアを少し開きミドリを見つめた。

勉から目線をドアの方に向けると外に居るデーモンに話しかけた。

「デーモン、入ってこい」

「俺が中に入っても良いのか、隠れている人間が傷つくぞ」

「わかった、俺がそっちに行く」

そう言ってミドリが立っている場所から離れたその時、結界に閉じ込められた。

「しまった」

「油断したな」

そう言ってドアを壊し長い黒髪、足首まで長い黒いコート姿のデーモンが現れた。

「お前が油断するなんて珍しいな」

「大龍神様の石を奪って他に何が欲しいんだ」

ミドリの問いにデーモンは答えず隠れている勉に向かって話しかけた。

「見てるからわかるよな、コイツを助けたかったら出てこい」

「勉、来るな」

「黙ってろ」

そう言ってデーモンは指を鳴らし結界の中に光線を放ちミドリの身体を傷つけた。

「うああー」

「やめろ!」

叫ぶミドリの姿を見て勉は助けようと奥の部屋から出ていき姿を現した。

「ミドリさんを解放しろ、それと美咲を返せ」

「強い気を感じる」

「ミドリさんへの攻撃をやめろ」

「攻撃をやめてやる、その代わり俺と一緒に来てもらう」

「ダメだ…うああー」

「ミドリさん」

傷つくミドリの姿を見てられない勉は助けるためデーモンに向かって返事をした。

「あんたと一緒に行く」

「良い返事だ」

そう言ってデーモンが手を差し出すと勉が口を開いた。

「ミドリさんの解放を見てからいきます」

「わかった」

そう言ってデーモンは指を鳴らしミドリへの攻撃をやめ結界を解いた。

その瞬間、ミドリはうつ伏せで倒れた。

「お前の言う通りにしてやった、俺の側に来い」

「……」

無言で勉がデーモンに近づこうとしたその時、傷だらけの身体で目を閉じたままミドリが立ち上がった。

「行っちゃダメだ」

「……」

無言でデーモンが手でミドリに攻撃し倒れさせれとその姿を見て勉は怒りデーモンの胸ぐらを掴みながら口を開いた。

「攻撃はやめろと言ったのに何で攻撃をしたんだ」

「悪魔は約束をしない」

そう言ってデーモンが勉の手を掴んだその時、再び目を閉じたままミドリが立ち上がった。

「しぶとい奴だ」

そう言ってデーモンが手で攻撃しようとしたその時、ミドリの姿が人間から緑の龍に変身した。
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