第21話

文字数 957文字

「…勉…」

方膝をつきながら大龍神が小さな声で話しかけると勉は大龍神の身体を支えながら立たせ口を開いた。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないかも」

「大龍神さん」

うつ向いている大龍神に声をかけ自分の方に向かせると勉は顔を近づけ唇を重ねた。

その時、金と銀のオーラが現れ勉と大龍神を包み込んだ。

そこへ妖精と龍達が現れた。

「何が起こってるんだ」

人間姿の緑の龍が口にしたその時、金と銀のオーラが消え勉と大龍神の姿が変わった。

その姿を見て龍達と美咲そっくりの女性は驚いた。

「大龍神のパートナーやっと見つかったようだな」

「大龍神様のパートナーってどういうことですか?」

人間姿の緑の龍が問いかけると妖精が口を開いた。

「あれが大龍神の本当の姿だ」

「左右の瞳と長い髪と足首まで長い服が金で背中の大きな羽は銀の人間…これが大龍神様の本当の姿」

人間姿の緑の龍と黄色の龍と白い龍と黒い龍と赤い龍が驚いた顔で見つめると人間姿の青い龍が口を開いた。

「勉は普通の姿に戻ってる」

「……」

無言で妖精は勉に向かって眠りの魔法をかけ勉を倒れさせた。

「青い龍、勉をこちらに連れてくるんだ」

「わかった」

勉に近づきお姫様抱っこすると人間姿の青い龍は大龍神に目を向けた。

「大龍神様」

「勉を頼む」

「わかりました」

勉をお姫様抱っこしたまま人間姿の青い龍が離れると大龍神が美咲そっくりの女性に向かって口を開いた。

「デーモンに力を奪われた俺が勉の力を全て貰い強くなった」

「あなたが強くなっても私には勝てない、デーモンにもね」

「それはどうかな」

そう言って大龍神が一瞬で近づき美咲そっくりの女性の身体の中に浄化の力を送り込むと口を開いた。

「君の中に浄化の力を送り込んだ」

「いつの間に」

「次に目を覚ますときは記憶を失ってる」

「デーモンのことを忘れるってこと?」

「幸せな暮らしを送るんだ」

「……」

大龍神の言葉を聞きながら美咲そっくりの女性はうつ伏せで倒れた。

その後、大龍神は魔法で美咲そっくりの女性を樹海から消した。

「幸せな人生を送れるように…」

大龍神が祈りを捧げると妖精が近づいてきた。

「勉を洞窟に運ぶよう龍達に伝えた」

「普通の姿に戻った勉を危険な目に遭わせるわけにはいかないからな」

「そうだな」

妖精の会話後、大龍神と妖精は目の前に立っているデーモンを見つめた。
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