第2話

文字数 1,066文字

男性から長年続いている龍と悪魔の戦いを聞き勉は怒った口調で口を開いた。

「あんた達の戦いのせいで俺の妹は悪魔に連れ去られたんだ、どうしてくれるんだ」

「心配しなくても妹さんは無事だ」

「何で言いきれるんだよ」

「会ったことないけど君を見てればわかる」

「……」

「龍が刻まれた緑の玉を君は触れただけで俺を目覚めさせた」

「…吉瀬勉…」

「……」

無言で男性が見つめると勉が口を開いた。

「俺の名前…あんたの名前は?」

「ドラゴン」

「カッコ良い名前だな」

「龍は皆、ドラゴンと呼ばれてる」

「それじゃ、あんたを呼ぶとき困るな」

「……」

考え込む勉を男性が見つめていると勉が口を開いた。

「あんたのことミドリって呼ぶのどうかな」

「良いんじゃないか」

「ミドリさん、龍と悪魔の長年の戦いって原因は何なんですか?」

「デーモンが大龍神様の石を奪ったんだ」

「それで戦いに」

「あぁ」

「ただの人間に何が出きるかわからないけど大龍神様の石を取り戻しましょうよ」

「手伝ってくれるのか?」

「美咲を助けたら一緒に大龍神様の石を取り戻しましょう」

「ありがとう」

「……」

無言で勉は差し出されたミドリの手を掴み握手をした。

その頃、美咲はデーモンの部屋でデーモンに身体と心を奪われていた。

「美咲、お前に頼みがあるんだが頼まれてくれるか」

「デーモンさんの頼みなら何でもしますよ」

「お前の兄を俺の前に連れてきて欲しいんだ」

「良いですよ」

「すぐ行ってくれるか」

「わかりました」

そう言ってデーモンから離れ部屋を出ていくと美咲は兄の勉の元に向かった。

その頃、勉は部屋でミドリと一緒に美咲の救出と大龍神様の石の取り戻しの作戦を練っていた。

「美咲を救出したら俺がデーモンの相手をするからミドリさんは石を」

「ありがたいが危険すぎる」

「大丈夫だよ」

そう言って勉が微笑んだその時、部屋のドアが開き美咲が現れた。

「美咲!」

驚いた口調で勉が口にするとミドリは怪しむ顔で美咲を見つめた。

「よく逃げられたな」

「必死に逃げてきたの」

そう言って美咲が勉に近づこうとしたその時、ミドリが止めた。

「近づかないで」

「何、言ってるんですか」

「見た目は妹の美咲さんかもしれないけど心はデーモンのもの」

「どういう意味ですか?」

勉の問いかけにミドリは美咲に向かって話しかけた。

「ここに来たのはデーモンの命令できた、そうですよね」

「……」

ミドリの言葉に無言で笑みを浮かべると美咲の左右の瞳が黒と赤に変わり普通の服が足首まで長い黒いスカートに変わった。

その姿を見てミドリは「やっぱり」と口にし勉は驚いた顔で見つめた。
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