文字数 988文字

「ああ……あぁっ~~~!!!」

俺はベッドの中で頭を抱えていた。

絶対どうかしてる!
あんなイカレた女に、何言っちゃってるの!!

いや、違うな。
イカレた女にイカレたことを言った、
俺の方がイカレてるのかもしれない。

正気を取り戻そうと、俺は智也に電話した。

『なんだよ、崎。
電話だなんて珍しいな。
メールとかならわかるけど』

「……今日俺、とんでもないこと言ったかも」

『どうしたんだ?』

「白谷さんに告白まがいなこと言った……」

それを聞いた智也は、電話の向こうで何かを落としたようだ。
ガシャン、と何かが割れた音が聞こえた。

『ま、マジかよ!! お前、命が惜しくないのか!?』

「で、でもギリで告白じゃない!
告白じゃない……と思う」

今日あったことを智也に説明すると、
大きくため息をつかれた。

『本当にヤバい人だな、白谷さん。
だけどどうするんだ? 話を聞くと、告白だと誤解されても
おかしくないぞ?』

「それなんだよな~……」

『それにお前、付き合う気はないんだろ?』

「うっ……」

言葉に詰まった。
白谷さんと付き合う。
……デートしている光景なんて、まったく予想がつかない。
今日みたいにいきなり路上で技をかけられたりするのが
日常になるのだろうか?
ウソ泣きで振り回されて、困らされたり?

そんなのは嫌だ。
でも、彼女が近くにいないと、不安で仕方ない。
気がついたらずっと彼女のことを考えている。

「こ、これは恋じゃないんだ。
俺は誤解してる!
彼女のことを考えてたり、
彼女のそばにいてドキドキはするけど、
それは不安や恐怖の感情なんだ!!」

『うわー……引くわ。
白谷さんはないわ』

「俺だってないよ!!」

『いや、聞いてると相当参ってるっぽいぞ。
お前』

「そ、そんなことないっ!!」

『それなら誤解のないように弁明するか、
連絡を取らないようにするしかないな。
誤解されて彼女面されても困るだろ』

「そうだよな。うん、連絡はもう取らない。
来ても無視するようにするわ」

その晩はそういうことで結論づけ、
電話を切った。

しかし、それから一週間。
……二週間。
………三週間経った。

「何にも連絡がないってどういうことだよっ!!!」

俺は携帯を思い切りベッドに投げつけた。
携帯は跳ね返り、バウンドする。

あんな思わせぶりなことを言われたら、
普通は気になるだろ!!
連絡だってするだろ!!
っていうか、誤解するんじゃねぇの!?

音沙汰もなにもなさすぎて、
俺はイライラしていた。

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