文字数 670文字

「この間、母に新しい服を買ってもらったんだ。
キミの家に行くときは、その服で行こうと思う。
かなりいい趣味をしていてな。
なかなか気に入ってるんだ」

部活の休憩中、様子を見に来てくれたみゆきさんと一緒に
いちごミルクを飲んでいると、そんな話題になった。

「へぇ、どんな服なんですか?」

「ドクロ柄のニットだ」

ぶーーーっ!!
俺は口に含んでいたいちごミルクを、思い切り噴出す。

「何考えてるんですか!!
俺はみゆきさんの趣味にどうこう言いませんけど、
普通考えるでしょ!!
彼氏の親に会うんですよ!?」

「彼氏……なぁ。
だからこそ自然体がいいかと思ったんだが」

「自然体すぎます!!」

俺はタオルで口元を拭うと、もう一度真剣に
みゆきさんに言い聞かせた。

「いいですか? 母は寛容な方ですけど、
若干俺たちのつきあいに関して
不安を持ってます。
だから、あんまり刺激するような言動などは
控えてくださいっ!!」

「クソ面倒だな」

「その言葉づかいも何とかしてくださいっ!!」

「わかったよ……。じゃあ父が買ってきた服にする」

「それはドクロじゃないでしょうね!?」

「キミがうるさいから、当日まで言わない」

ツンとそっぽを向いてしまうみゆきさん。
もしかして、ちょっと機嫌を損ねた……?

でも、しょうがないことだ。
長期的に見た場合、ちょっとケンカするのと
おかんに別れさせられるのだと
かなり意味合いも違ってくるし。

「みゆきさんには悪いけど、今回は俺、
引きませんから!」

「……仕方ないな。今回だけはキミの言う通りにするよ」

「よろしくお願いしますよ! っとに……」

俺はきちんと言い聞かせると、道場へ戻った。

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