文字数 872文字

「幸ちゃん、あんた最近どうしたの?」

「え?」

久々に家で課題をやっていると、
おかんが俺にたずねた。

「なんだか楽しそうに学校行くし、
外出や外泊が増えてるじゃない。
もしかして……彼女が!?」

「……いや、うん、まぁ」

照れながらおかんに告白すると、
にっこ~と笑みを浮かべる。

「ちょっとどんな子なのよ!!
かわいい? どこに惹かれたの!?」

「え~っと……かわいくは……ないか。
どこに惹かれたか?
う~ん……自分が見てないと警察に捕まりそうになるところ、かな」

「あんた……大丈夫?」

笑顔を浮かべていたおかんが、
不安げな顔に変わる。
それもおかしくはないか。
自分でもみゆきさんのどこが好きなのか、
いまだに理解していないし。

「母さん、あんたが選んだ子ならどんな子でもいいんだけど
さすがに警察沙汰になるような人はどうかと思うの」

「だ、大丈夫だって!
最近は大人しいし!!
顔面とか、目に見えるところは狙ってこなくなったから」

「もしかして、前に鼻を折った子?」

「あ、あれは愛情表現のひとつなんだって!」

おかんの顔はなおさら険しくなる。

「……心配だわ。一回家に連れてきなさい」

「うぇっ!?」

「一応あんたは大事な一人息子ですからね。
どんな人なのか、母さんが見極めます。
さ、親に会ってくれって連絡しなさい!!
今、ここで!!」

「マジかよ……」

おかんも悪い人じゃないんだけど、
押しが強いところがあるんだよな……。

仕方なく俺は、みゆきさんにメールした。
すると。

『行く』

相変わらず2文字。
だけど軽いな……。
彼氏の親に会うって、結構ハードル高いと
思ったんだけど……。
というか、みゆきさんって
案外誘えばホイホイついてくるタイプなのかも……。

それなら親に一回会わせておくのは手かもしれない。
そうすれば、他の男に誘われても自重する……よな?
だ、大体みゆきさんの交友関係は狭い……いや、一概には言えないか。
石黒さんとか、大学以外での知り合いは意外と多いかもだし。

ここはきっちり親に会ってもらおう。
それで、俺の彼女だって自覚を持ってもらう!
俺はみゆきさんの都合のいい日時を聞き、
食事会を開くことにした。

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