2024/2/10 前衛・無季俳句と林田紀音夫

文字数 516文字

林田紀音夫というひとの俳句がまえに気になってメモしていた。
なんかいい。
いいね。


滞る血のかなしさを硝子に頒つ

雪片や呪符のごとくにこころ占む

水を飲み透明体の死を移す

引廻されて草食獣の眼と似通う

鶴を折りさむければ指の骨鳴らせり

打水の両の手やがて消え失せる

鉛筆の遺書ならば忘れ易からむ

青ぞらのけふあり昨日菊棄てし

消えた映画の無名の死体椅子を立つ

死顔のなほ人に逢ひ葬られず

七輪に紙燃やすけふありしかな

息白く打臥すや死ぬことも罪

病葉や尿する馬のさびしい貌

煙突にのぞかれて日々死にきれず

火蛾狂ふ夜ごと疲れて詩もなし

棚へ置く鋏あまりに見えすぎる

受けとめし汝と死期を異にする

黄の青の赤の雨傘誰から死ぬ

洗つた手から軍艦の錆よみがえる

いつか星ぞら屈葬の他は許されず

幽界へ氷片のこすウイスキー

ひとの死のその葉書なりふたつに折る

 
憶ひ出も空蟬ほどの脆さかな

蟇あるく捨てし燐寸は地に燃えて

夜勤工のひとりや月の踏切に






労働、ふらふら。
職場みんなに「大丈夫?」「大丈夫?」と言われてやさしくてありがたいけれども、「大丈夫?」って聞かれたら「大丈夫です!」て言わざるを得なくて、つらいよう。
もうだめだ。
もうだめだ。

もうだめだ。
もうだめだ。
わたしはもう
もうだめだ。
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