(三・五)国際平和委員会

文字数 1,245文字

 ではここで、第三次世界大戦に向けた国際平和委員会の計画に沿って起こった、二〇〇五年までの事象をKADENA NOTEから引用してみよう。
『さて、第三次世界大戦プランにおいて重要な役目を担ういとしき小国日本は、二十一世紀に突入するや、活発なる動きを見せ始める。
 先ず自衛隊であるが、本組織は本来の姿を現すこととなろう。即ち軍隊的能力の復活である。そして国連、その他国際的平和維持或いは平和貢献(皮肉にもどちらのキーワードも平和という語を有しているが)、これら平和の名の下に、自衛隊を海外へと活発に派遣させる。
 その過程及びその結果として自衛隊は外国の軍隊と戦火を交えることとなり、結果、海外のテロリズム国家から狙われることになろう。そうなれば自衛隊としても、対抗手段として弥が上にも軍事力を強化せざるを得なくなる。その足かせとなる憲法は、徐々にされど次々と改正され、日本並びに自衛隊は、第三次世界大戦へと通じる『いつか来た道』へと歩み出してゆくのである。
 次に原子力である。東海村に於いて、表向き原子力発電開発の名の下に進められた極秘プロジェクトがいよいよ完結する。即ちプルトニウム核爆弾が完成するのである。但し無論これは、日本単独では成し得ない。なぜなら第二次世界大戦終戦の過程で、日本は核兵器開発技術を壊滅させられたからである。そこで米国がこれに協力する。完成した核爆弾は『八月の少年』、英名でオーガストボーイと付される。
 しかし我々はこのオーガストボーイの標的を、他でもない産みの親である米国具体的には横須賀の米軍基地とするつもりであり、この作戦のキーワードは、mikasaである。
 自衛隊の実質的軍隊化を成し遂げ、オーガストボーイを手に入れた日本には、大胆な外交政策の転換を図ってもらうことになる。具体的には米国に替わる大国と秘密協定を結び、米国の敵対勢力となってもらうのである。これにて第二次世界大戦終戦より続いた米国の日本支配は終焉を告げる訳だが、喜んでばかりもいられない。なぜなら替わって新しいパートナーとなった別の大国が、引き続き日本を支配することになるからである。そしてその国とは、ロシアである。表向きは北方領土返還の合意による平和協定の名の下に、あくまでも米国には悟られぬように……。
 こうして我々の第三次世界大戦に向けた計画は、沈黙の中に粛々と進められてゆくのである』
 そして世界は、KADENA NOTEの通りに進んでゆくのだった。事実本年二〇〇五年一月、突如日本とロシアに於いて北方領土問題解決に向けた協議が持たれ、ロシアの大幅な譲歩によって遂に、電撃的な合意に至ったのである。二国は直ちに平和協定を結び、北方領土四島は日本へ返還されることとなった。本件は寝耳に水の米国は勿論、世界中を驚かせた。
 このように、現実がKADENA NOTEに追随した。だからと言ってKADENA NOTEは予言の書という訳では決してなく、あくまでも国際平和委員会の計画書なのである。
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