第8話 紗奈との出会い

文字数 545文字

お隣いいですか?
どうぞ

映画サークルに入って初めての集まりのとき紗奈は僕の隣に座った。

文学部一年、富樫紗奈です
医学部一年、近藤正嗣です
ドクターかぁ…
いや、医学部に入っただけで、まだ医者じゃないから…
あっ、そっかぁ~
今、ドクターの話の本を読んでて、ついつい…
何ていう本?
中山七里さんの…
ヒポクラテスの誓い
ヒポクラテスの誓い
あぁ、申し訳ない…


わざと彼女に合わせて、一緒に答えた自分が恥ずかしくなり、下を向きながら頭をかいていた。
ふふふ~照れてる姿可愛い…
…いや…その…
どう返答すればいいのか分からず、戸惑っていると、彼女はカバンから小説を取り出し大事そうに撫でた。
私、中山さんの本大好きなんです
原作をドラマ化したものも僕はよく見るよ
本当ですか?

私も見ます!

君も見るんだ?

原作は原作の良さがあって、映像は映像の良さがあって…

どっちもいいですよね~

今度一緒に見たいです……
あっ、初対面なのに…

いきなり図々しく…

すみません…

いやいや……

…ぜひ今度……

やったぁ~
そう言いながら、にっこりと笑う彼女の笑顔につられて、僕も自然と笑顔になっていた。

ふふふ~

なんだか私たち気が合いそうですね

その日以来、僕が映画を見るときは必ず隣に彼女がいた。




本の話、映画の話を含めて、彼女は本当に気のあう最高のパートナーだった。

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登場人物紹介

加藤 信江

会社員

ミラー

SLSG研究所 所長

内科・精神科 医師

芳賀 鏡子

医師

ミラーの助手

吉川 咲枝

研究所家政婦

近藤 紗奈(旧姓 富樫)

沖田 保

俳優

警官

ミラーの母親

医師

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