私生活もネコは見ている

文字数 1,097文字

 大学も合格し、将来のために資格の勉強なども始めてはいたが、今は大学入学まで一息ついているところだった。

 大学受験前は、漫画にハマり、ちょっと依存状態になるぐらいヲタク活動をしていた。私はクリスチャンだったが、礼拝も無視してしまうぐらいだった。

 案の定、神様からお叱りを受け、ヲタク活動もうまくいかなかった。結局、悔い改め、祈り、讃美歌、礼拝、聖書通読といったクリスチャンライフに戻った。不思議な事にそうしてから勉強にも身が入るようになり、第一志望の大学に合格した。自分の実力より偏差値が高い大学だったので、教師も家族も驚いていた。

 めでたし、めでたしと言いたいところだが、ちょっとヲタク活動に未練もあったりした。今はほどほどに趣味程度にアニメや漫画を楽しむ程度だが、なぜか何かを創りたい気分だった。

「そうだ、同人誌作ろう!」

 時間も余裕がある。ぼーと受け身でヲタク活動するより、生産性な趣味の方が、楽しそうな気がした。

 思えば人は神様に似せて創造された。絵を描いたり、物語を作ったり、言葉を操れるのも、神様に似せて造られているからだ。聖書では、天地、動物、人間も神様が造ったオリジナルの尊い存在だという。

 そう思うと何か造りたい欲求がました。私はノートを取り出し、物語のあらすじを書き始めた。漫画になるか、小説になるかは不明だが、書いているとだんだん楽しくなってくる。

 こうして暇な時間は、物語のあらすじを書き、教会に行ったら同じ信徒の仲間や牧師に見せびらかしていた。素人の落書きみたいなものだが、私に新しい趣味ができたと概ね好意的に見られていたようだ。

 そんなある日、教会に新しく信徒がやってきた。私と同じぐらいの大学生で、漫画好き。名前は鹿島恋歌という。名前は結構派手だが、黒ブチメガネで猫背。自分と同じ香りがして、ついつい話しかけていた。

「もしかして、趣味で漫画書いてたりしない?」
「うん。実は同人誌も描いていて……」

 恋歌は恥ずかしそうに言っていたが、私はヲタク仲間ができそうな喜びで、ニヤリと笑っていた。

 以降、恋歌と一緒に漫画を描くようになった。作画が恋歌で、私がキャラデザインとストーリーを作る。もちろん神様が嫌がるBLや転生は書けないが、その代わり聖書モチーフの歴史ものやファンタジーを描いている。

 恋歌とあれこれ言いながら、漫画を作るのが楽しい。

 今日も教会の多目的室で、一緒に同人誌作りに取り掛かっていた。

「にゃー」

 教会で飼っている三毛猫・マナが私達の側によってきて、鳴いている。何だかマナもご機嫌で、私達も嬉しくなる。

 こんな私達の生活を祝福してくれてる?

 なんてね?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み