第150話 相愛傘 Aパート

文字数 7,803文字




 蒼ちゃんとのやり取りを終えて、改めて自分の意思を確認した私は、いつ優希君から連絡が来ても良いように、机の上に携帯を置いて、もう一度教科書とノートに視線を落とす。
 朱から群青へ移った空に合わせるかのように部屋の中も暗くなった頃合い。部屋の灯りでも付けようかと一度小休止を挟む事にする。
 お母さんが私と一緒に食べようと準備してくれた夜ご飯。さすがにそのままにはしておけないからと、蓋だけはしてあるけれど、そこそこの時間が経つはずなのにお母さんも戻ってくる気配はない。
 ただ、階下からは大きな声も物音もしないから、喧嘩を続けているとは思いたくない。
 他方、待ち続けている優希君からの連絡もない。まぁ、今の私の顔じゃ朱先輩やお母さんとの話があったとしても、優希君に会うにはものすごく勇気が要るのだから、これはこれで仕方が……ううん。そんな事ない。こんな時だからこそ、せめて優希君の声が聞きたい。
 蒼ちゃんはくれたのに、どうして優希君は連絡をくれないのかな。ひょっとして優珠希ちゃんから聞いて、私に呆れてしまったのかな……。たった一日や二日でこう思う程には心に寂しさが広がる。
 昨日優珠希ちゃんには治るまでの2週間、会うのを控える、我慢するって言ったのに今日には会いたい、声が聞きたいって思っているんだから、本当に私って面倒くさいなって思う。
 でも優希君はそれでも良いって言ってくれたし、面倒くさい、私だけの女心も時間をかけて分かって貰うつもりではいる。私がこんなにも優希君の事を考えて、優希君からの連絡を待っていたのに、
「愛美。お母さんだけど、部屋に入っても良い?」
 再びお母さんが私の部屋をのぞきに来てくれる。
「うん。鍵かけていないよ」
「愛美。さっきはごめんなさいね。お母さんは愛美の気持ちを大切にするから、お父さんの話は何も気にしなくても良いわよ」
 部屋の鍵をかけながら、さっきのやり取りを気遣ってくれる。
「それで、明日は彼氏と会う決心はついたの?」
 ってちょっと待って欲しい。今さっきまでは、私が学校を続けるのかどうするのかって言う話をしていたんじゃないのか。それなのにどうして次の一言が優希君の話になってしまうのか。
「会うも会わないも、明日の優希君の予定次第だって」
 そもそもこの時間になっても、明日のデートの連絡もないのだから、明日は用事が入っているのかもしれないのに。
「……愛美は優希君が好きなんでしょ? 優希君と一緒に卒業したいんでしょう? お父さんも愛美に似て“頑固”だから愛美の想いをもっと強くしないと、お父さんはずっと文句を言い続けるわよ」
 いやいや、お父さんのこれまでの言動を考えたら、どう考えても彼氏がいる事をほのめかせた時点で、転校させるって暴走してしまうんじゃないのか。
「でも、お母さんは応援してくれるんだよね」
 だったら優希君の事は卒業まで秘密にしておいて、どこかのタイミングで打ち明ける方が良い気がする。まあ、学校の事も、優希君の事も両親ともに応援してくれた方が嬉しいし、私を過保護と言っても良いくらい大切にしているお父さんに反対されているのはとても寂しいけれど。
「当たり前だけど、どうせ愛美の事だからみんなに応援して貰った方が嬉しいんじゃないの?」
 そんなの当たり前に決まってい……あ。
 自分で思っていたはずの気持ちに自分で気付く。
 何だかんだ言って私は、慶も含めたこの家族の事が大好きで、みんなの笑顔が大好きなのだから、やっぱりお父さんにも応援して欲しいし、現在(いま)を振り返った時に胸を張ってあの時は楽しかった、幸せだったって言いたい。
「それに愛美。顔を理由に二の足を踏んでるみたいだけど、本当は優希君に会いたいんでしょ? なのに変な意地張って、まだ明日の約束できてないのね。そんな寂しそうな顔で言っても、彼氏の存在すら知らないお父さんには、愛美の気持ちは全く届かないわよ」
 ……そっか。私、今、笑えていないんだ。
 蒼ちゃんからのメッセージで頑張ろうって気にはなれたけれど、まだ笑えてはいないんだ。
 だから、朱先輩も時々私の顔をじっと見ては、優希君と会うのをしきりに提案してくれていたのかもしれない。朱先輩は、私が優希君の事を話す時の表情を知ってくれているから。
「愛美は自分の幸せの事だけを考えたら良いから、ちゃんと素直にならないと駄目よ」
 みんな少しずつ考え方が違うから、私を心配してくれる気持ちは同じでも、その言葉、行動、応援はやっぱりそれぞれで違う。
 それに穂高先生も言ってくれていた通り、私たちでは考えもしなかったところも、大人であるお父さんやお母さんは見てくれている。
「でも明日優希君に用事があるかもしれないし……」
 結局メッセージ一つもくれないのだから、なんとも言えないのだ。
 だったら、私の方から聞けば良いんじゃないかという人もいそうだけれど、面倒くさい今の私の気持ちとしては、優希君、男の人から誘って欲しい、連れ出して欲しいって言う気持ちもあったりする。
「分かったわ。とにかく笑顔になるにしても、明日彼氏と会ってデートをするにしても、元気と体力だけは要るだろうから、ご飯だけは一緒に食べましょ」
 私の気持ちを分かってくれたっぽいお母さんが苦笑いを浮かべた後、少し遅めの夜ご飯。お母さんと二人きりの私の部屋の中で食べる。


「愛美。今日、シャワーだけでもどうする? 明日デートするなら汗は流しておいた方が良いんじゃない?」
 夜ご飯の後、お母さんが私の顔を気にしながら声をかけてくれる。
「温めのシャワーで、汗だけでも流すようにするよ」
 優希君の前に立つかもしれないのに、今のままとか汗を流さないとかあり得ない。
「それと今日の夜はどうする? 一人で寝る? それとも、もう一日お母さんと寝る?」
 昨日の夜、私を気遣ってくれたお母さんの気遣いに少し考える。
 昨日は男子二人の事や、お父さんの大きな声、乱暴な仕草もあって不安が大きかったけれど、今日は大丈夫な気がする。
「じゃあ、汗を洗い流しながらでも、ゆっくりと考えなさいな」
 どうするのか、纏まり切らないまま先に汗を洗い流しに、一度自室を空ける。

 汗を洗い流してさっぱりした私が自室に戻った時、お母さんが手にしていた物を見て後悔する。
「やっぱり愛美も女の子ねぇ」
 そう言いながら例のリップクリームを手の平の上で転がすお母さん。
「ちょっとお母さん!」
 なんて言うか、こんな時にもかかわらず、もう口づけの事を意識しているのはバレバレだった。分かってはいても親に彼氏の事を色々聞かれる事程、お節介な事はないと思う。
「あら? さっき電話も鳴っていたみたいだけど、そっちも良いの?」
「――?!」
 しかも私が少しの間留守にしている隙間を縫って連絡してくるなんて……まさかっ。
「そんな顔しなくても、お母さんが電話に出るわけないでしょ。それに誰からの着信かも確認はしてないわよ」
 せっかく汗を洗い流してきたばかりだというのに、お母さんのせいでまた変な汗が流れた気がする。
 もしこれで明日優希君から、汗臭いって言われたら朱先輩の家に家出してやる。
「愛美の反応で、誰からのどんな内容の電話を待っていたかは分かったけど、電話の相手待たせて良いの? 相手、愛美が連絡の欲しかった相手なんでしょ」
 この家の頂点に立つのはどう考えてもお母さんで間違いない。でもどうして何でもかんでもバレてしまっているのか。
 本当は優希君からの電話に出たんじゃないのか。こんな時じゃなかったら、お父さんに言いつけたい……けれど、そうすると優希君の事をお父さんに言わないと駄目なのか。
 何かもうお母さんに何もかも計算ずくめで動かされているような気がしてくる。
 こんなのに優希君を巻き込んだら、絶対に面白くない。それに私の彼氏をアレコレするのは辞めて欲しい。
「今日はもう一人で寝るから、出て行ってよ」
 優希君のアレコレをお母さんにされたくなくて、お母さんの前で電話の相手の答え合わせなんて出来るわけもなくて、分かっていて聞いてくるお母さんを部屋から追い出す。
「って言うか、そのリップも返してよ」
 無論リップクリームも返して貰った上で。

 お母さんを部屋から追い出して、部屋の鍵もしっかりとかけてから、改めて携帯を確認すると、
「……」
 やっぱり優希君からだった。

題名:明日デートしたい
本文:金曜の夜、優珠から色々聞かされて、今日一日我慢したけど、心配なのと
   純粋に愛美さんに会いたい。その前に声だけでも聞きたいから、今日電話
   欲しい。こっちはずっと待ってるから時間は気にしないで欲しい。

 その上に、優希君からのメッセージ。
 なんで私がいないタイミングでと言うか、お母さんだけの時に電話を鳴らすのかとか、私の心の中では色々な感情がせめぎ合っている中で、どうして今日一日だけとは言え、優希君は我慢する事が出来たのかとか。言いたい文句はたくさんあったはずなのに、正面切ってデートしたいなんて私が欲しかった言葉を言ってもらえたら、嬉しくて仕方がないに決まっている。
 私は部屋の鍵を念入りに確認してから
『ゆ――「愛美さん?! 僕だけど大丈夫? いや大丈夫では無いんだったね」――』
 電話をかけるも1コール待たずに繋がってしまう。おかげでこっちは何の準備も出来ていない。まさか本当に電話口の前でずっと待ってるなんて思わなかった。
『大丈夫じゃないけれど、ずっと電話待ってたのに』
 いや、優希君の方が今は待っていてくれたんだから私の言い方は正しくないのかもしれないけれど、それでも嬉しくなってしまった私は、優希君にはどうしてもワガママを言いたくなってしまう。
『ごめん。僕もどうしたら良いのか分からなかったし、用事もあってごめん』
 でも優希君から帰ってきたのは、謝りの言葉だった。私は優希君に謝って欲しくてワガママを言ったんじゃ無い。
 私の言うワガママで、困った顔をしながらも喜んでくれる優希君を見せて欲しくて、ワガママを言ったのだ……まあ、電話口ならその表情を見る事は出来ないけれど。
 だからもう一つ私のワガママを重ねる事にする……思っている以上に優希君に甘えたかったのかなと自分自身の心の中で想いながら。
『その用事って、私の心配よりも大切だったの?』
 ただ、甘えるにしてもこの言い方だと、優希君を困らせてしまうだけな気がする。本当に甘えるって難しい。
『比べられる物じゃないけど、今日の用事もそれなりに大切だったかな』
 さっきまでは優希君の方にも用事があるかもしれないって思っていたはずなのに、やっぱり納得できない自分がいる。
 でもこれをそのまま出すとやっぱり優希君を困らせてしまうだけのような気もするし。
『……僕はどんな愛美さんの顔でも好きだから、明日――』
 ……何だろう。私が黙り込んだのを何かと勘違いしたのかな。何か前後の文脈というか、おかしい気がする。
『――「ちょっとお兄ちゃん! 突然何をゆいだしてるのよ。話す順番がおかしいじゃない。それじゃ、愛美先輩も意味分からないんじゃないの?」――』
 私が頭をひねろうとした瞬間、隣に優珠希ちゃんもいたのか、突然優希君以外の声が耳朶に響く。
『――でも優珠が、愛美さんはきつく殴られて顔の事気にしてるって――あ! ちょっと優珠!「もう知らない。愛美先輩に直接文句ゆわれた方が良いんじゃない? それより、電話口。いつも待たせてるけど良いの?」――! えっと愛美さん?』
 その妹さんと、私への電話の前に何かを話していたっぽい優希君。
『……私と喋る時、いっつも優珠希ちゃんが近くにいるよね』
 二人の仲の良さは知っているから、私が出しゃばるように口を挟むつもりはないのだけれど、何かすごく面白くない。
 でも、金曜日の事を考えるととてもじゃないけれど、文句を言えるような立場には無い。
 でも、私の気持ちも知って欲しくて
『それって私と喋るの緊張するから? 私と喋るの難しい? それともワガママ言いすぎた?』
 優希君の“秘密の窓”をノックさせて貰う。もしこれで緊張するとか、喋るのが難しいとか言われたらどうしたら良いんだろう。
『違う。そうじゃないんだ。聞き苦しい言い訳かもしれないけど、僕にとって愛美さんは初めての彼女で、分からない事が多いから、どうしても女の人気持ちは聞かないと分からなくて』
 それでいつも優珠希ちゃんが近くにいるって言う事なのかな。じゃあ、やっぱり私への気遣いとかは優珠希ちゃんを映しているって事になってしまうのかな……面倒くさい私は、どうしても悪い方へと考えてしまう。
『その気持ちとか、分からない事は私にぶつけるなり、聞いてくれるなりはしてくれないの?』
 いつかお父さんの浮気の時にお母さんが言った言葉らしい事。あの時、お母さんの情熱ってすごいなって思ったけれど、やっぱり自分が好きになった人なんだから、他の女の人なんて見て欲しくないに決まっていた。
 それは例え、優希君の妹さんである優珠希ちゃんでも同じ事だ。
 優珠希ちゃんじゃなくて、私だけの女心だけを理解して欲しいのに、私にもその優希君の“秘密の窓”を空けて欲しいのに。
『僕も出来ればそうしたいけど……』
 なんでせっかく繋がった優希君との電話なのに、こんな喧嘩みたいな寂しい気持ちにならないといけないのかな……。
『私、優希君の声聞けなくて寂しかったよ』
 会うのは諦めるしか無くて、声くらいは聞きたいって思っていたのに。
 これじゃあお母さんに指摘された、笑顔になんてなれるわけがない。
『でも、あまりにも的外れな事をして、愛美さんに嫌われたくないし……』
 でも、今の私たちは少しずつ変わってきている。その優希君が恐る恐るだろうけれど、私にその“秘密の窓”を空けてくれる。
『……それって、私が怖いって事?』
 その窓の中がそうだったら、私はこのまま涙してしまう。
『違う、そうじゃない。怖いって言う意味ではそうかもしれないけど、僕は愛美さんに幻滅されるのが怖いんだ。愛美さんにとって僕がいつも一番でありたいって思ってるから……』
 そっか。優希君もやっぱり私と同じ気持ちではいてくれるんだ。さっきまでの寂しい気持ちが少しずつ温もりに変わり始める。
 私だって優希君に幻滅されたくないから、この顔では会えないって金曜日の夜からずっと考えていた事だった。
『だったら尚のこと、その気持ちも含めて私に教えて欲しかった。今さっきまで私の中は不安と寂しさで一杯だったけれど、今は優希君の気持ちを少し知る事が出来て、少しずつだけれど温もりが広がってきてるよ』
 だから勇気を出して空けてくれた優希君の“秘密の窓”。恥ずかしくても、私の“秘密の窓”も優希君には開けたい。
 それはやっぱり喧嘩するよりもよっぽど良いなんて、比べるまでもない事だ。
『明日。何とか僕と会ってもらえないかな。会って話したいし、声を聞くだけじゃなくて顔を見て話したい』
 私の開示した“秘密の窓”で自信を持ってもらえたのか、さっきまでの弱々しい声じゃなくて、しっかりした声になる。
 もちろん優希君が誘ってくれた事は嬉しいし、私だって会いたい気持ちは強い。でもいくら優希君に“秘密の窓”を開示したとしても、外に出られる顔でもないし、朱先輩のように両親どころか慶までいる家に来て貰う訳にもいかない。
『女々しいかもしれないけど、明日。愛美さんに絶対会いたいから顔が酷くて外に出歩けないというなら、僕が愛美さんの家まで行く』
 返事を渋る私に尚も言い募ってくる優希君。
『それでも踏ん切りがつかないのなら、前の時のようにマスクでもしてくれたらだいぶましだと思う』
 確かに前の時はやむなくそうしたけれど……
『……そこまでして、私に会いたいの?』
『――! もちろん!! 出来る事なら今すぐ会いたい』
 私の質問に即答してくれる優希君。
『でも私の顔。腫れてもいるし青くなっている所もあるし、本当に可愛くないよ?』
 まあ普段から可愛いわけではないとは思うけれど、今の顔は自分でも酷いと思う。
『僕としてはその方が、これ以上愛美さんに変な男が寄って来ないから安心出来るよ』
 私に変な男子って……確かに昨日みたいな事や、あのメガネみたいなのには本当に困りはするけれど……。
『じゃあ優希君は? 優希君は私は可愛くなくても良いの?』
 メガネや倉本君からは優希君が守ってくれるのだから、私は他の男子なんてどうでも良くて、優希君の気持ちが知りたいのだ。
『そりゃ僕としては可愛い方が良いけど、元々愛美さんはすごく可愛いし、でも可愛くない方が良いって言うのも本音だし……っ! とにかく明日は会いたい。よく考えたら愛美さんが自分の顔を可愛くないって思ってたとしても、僕からしたら全然気にならないのかも知れないから、明日会いたい』
 悩み出した優希君が、何かを思いついたのか急に私をまくし立ててくる。しかもその内容も、明日私に会いたいの一点張り。
 私だって優希君に会いたいって思っているんだから、そこまで私に会いたいって言ってもらえて悪い気はしない。
 それに私がどう言ったとしても、優希君からの感想は優希君が見ない事には分からないのはそうだと思う。
『分かった。じゃあ明日、楽しみにしてるね』
 結局優希君の熱意というか、気持ちに絆される形で明日の日曜日も何とかデートが出来る事に。
 その後、近所の人に見られたら恥ずかしいとは思ったけれど、背に腹は代えられないからと、家の近くの公園の特徴と場所、それから目印を伝え、明日に備えて通話を終える。
 何だかんだ言ってお母さんや朱先輩の言う通りになっているのは面白くないけれど、それでも諦めていた優希君と明日会う事が出来るのはやっぱり楽しみだ。
 しかも優希君にしては珍しく、私の事も理屈も何もかもを抜きにしてただ会いたいの一点張り。それでもって私への気遣いも入っているのだから。好きな人からあそこまで押して貰って、嫌な気になる人はやっぱりいないと思う。
 そうと決まれば明日着ていく服だけはしっかりと吟味しておかないといけない。顔が駄目な分、優希君が気に入ってくれているスカートくらいは穿いても良いかもしれない。
 それならば、まだ序の口しか教えて貰っていないらしいけれど、今日朱先輩から教えて貰った“隙”の事も合わせて意識したい。
 やっぱり好きな人には一番に変わった自分を見せたい。だったら逆にスカートしかない気がする。
「……」
 なんか、何もかもがうまく行きすぎている気がするけれど、やっぱり少しでもデート出来るなら、喜んで貰いたいし、私も楽しみたい。その上で少し迷ったのだけれど、優希君が開いてくれた“秘密の窓”。その気持ちにも応えたいからと理由を付けて、明日は引いておこうと決めてしまう。
 そして最後に、

題名:明日会えます
本文:私がどうこうって言うより、優希君が私に会いたいって言ってくれたので、
   明日は会えそうです。ありがとうございました。
追伸:今日朱先輩から教えて貰った事も、明日優希君の前で実践します。

 朱先輩へのメッセージだけを打って、そのまま布団に潜り込む。

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